ウサギは自分の歯を食べる?
ウサギの歯は私たち人間の歯と異なり、一生涯伸び続けます。
この特殊な性質はウサギが草や木の皮などの硬いものを常にかじる習性を持ち、それによって歯が摩耗することから進化したと考えられています。
これまで、ウサギが歯の成長を維持するためにはカルシウムを豊富に含む食事が必要だと考えられていました。
実際、野生のウサギはカルシウムが多く含まれる草や葉を好んで食べていることが確認されています。
しかし飼育されているウサギでは、過剰なカルシウム摂取が腎臓や尿路に負担をかける可能性があることが指摘されています。
そのため、ペット用ウサギの餌には適量のカルシウムが含まれており、栄養バランスが考慮されています。
ところが今回の研究では、ウサギが自らの歯の粉末を摂取し、それによってカルシウムを補給している可能性があることが示されました。
この発見は、ウサギのカルシウム摂取の仕組みを根本から見直すきっかけになるかもしれません。
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研究チームは今回、8匹のメスのアナウサギ(学名:Oryctolagus cuniculus)を対象に、2週間にわたる給餌実験を行いました。
実験では、ウサギに対して次の2種類の餌を与えました。
- 標準的なカルシウム補助剤を含む餌
- 粉砕したウサギの歯を含む餌
その後、ウサギの糞を分析し、どの程度のカルシウムが体内に吸収されたかを測定しました。
結果として、歯の粉末を含む餌を食べたウサギは、摂取したカルシウムの33%を消化・吸収していたのに対し、標準的なカルシウム補助剤を摂取したウサギはわずか20%しか吸収できていませんでした。
この結果は、ウサギが咀嚼の度に生じる歯の粉末を摂取することで、より効率的にカルシウムを取り込める可能性を示しています。
しかも、これによりカルシウムの過剰摂取による健康リスクを低減できるとも考えられています。