不思議な模様の魚、どこで見つかった?
![画像](https://nazology.kusuguru.co.jp/wp-content/uploads/2025/02/Low-Res_Ghiblifish3.jpg)
研究チームがこの新種を発見したのは、意外にも海の中ではなく、オンラインの海産物市場でした。
近年、インターネット上では多様な生物が取引されており、研究者が新種を発見する場としても注目されています。
今回のケースでも、研究者たちは販売されている深海アマダイの写真を分析する中で、特徴的な頬の模様を持つ個体を見つけました。
名前の通り、深海アマダイは水深が深い場所に生息しており、種によっては水深600メートルにまで達することがあります。
この魚は南シナ海の深海に生息しており、漁師たちの間では以前から「幽霊の馬頭魚(Ghost Horsehead Fish)」と呼ばれていました。
しかし、この幽霊の名前が示す通り、漁師たちもこの魚の正体をよく知らず、他の深海魚と混ざって市場に流通していたのです。
![画像](https://nazology.kusuguru.co.jp/wp-content/uploads/2025/02/Low-Res_gbf1.jpg)
新種と認定するには、形態学的な比較と遺伝子解析が必要です。
研究チームは、市場で入手した個体を詳しく調査し、他のアマダイ科(Branchiostegidae)の魚と比較しました。
その結果、この魚の背鰭や尻鰭の形状、鱗の配置などが既存の種と異なっていることが明らかになりました。
さらに遺伝子解析を行ったところ、この魚がこれまで記載されたどの種とも異なる独自の遺伝的特徴を持つことが確認されました。
そして最も際立っていた特徴は、目の下から頬にかけて赤い線模様がすっと入っていたことです。
研究者らは、この赤い模様が映画『もののけ姫』に登場する少女サンに似ていることから、学名を新たに「ブランキオステグス・サナエ(Branchiostegus sanae)」と命名しています。
また映画のタイトルにも含まれる「もののけ」という言葉は、日本の伝承で超自然的な霊や妖怪を指します。
この点も、中国の漁師が「幽霊の魚」と呼んでいたことと一致しており、研究者たちはこの名前を選んだのです。