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【米国で話題】道路にできた「ネズミ穴」、調べたら実はネズミじゃなかった

2025.10.16 12:00:17 Thursday

米シカゴの静かな住宅街「ロスコー・ビレッジ」の歩道に、20年以上前から謎の“ネズミ型のくぼみ”がひっそり存在していました。

この穴が突然全米の話題になったのは2024年。

地元のコメディアンで作家のウィンスロー・デュメインさんがSNSでこの穴を紹介したことで、「シカゴ・ラットホール」と呼ばれ、たちまち聖地のように祭り上げられました。

現場にはコインや花などの「お供え物」が置かれ、写真を撮るために人々が列をなすほどの人気スポットに。

さらには「この穴は本当にネズミの痕なのか?」という疑問も生まれ、地元メディアや科学者までも巻き込んだ大騒動に発展します。

そんな中、米テネシー大学(UT)が調査に乗り出したところ、この穴の正体はネズミではなく、リスによるものであることが明らかになったのです。

研究の詳細は2025年10月15日付で科学雑誌『Biology Letters』に掲載されています。

 

The viral ‘Chicago Rat Hole’ wasn’t actually made by a rat, scientists claim https://www.livescience.com/animals/land-mammals/the-viral-chicago-rat-hole-wasnt-actually-made-by-a-rat-scientists-claim Chicago’s viral ‘rat hole’ was not made by a rat after all, new study finds https://phys.org/news/2025-10-chicago-viral-rat-hole.html
Rodent indent not self-evident: a case of mistaken identity of the ‘Chicago Rat Hole’ https://doi.org/10.1098/rsbl.2025.0343

「本当にネズミ?」科学的アプローチで判明した意外な真相

科学者たちは、この歩道のくぼみについて独自の調査に乗り出しました。

本格的な分析を行ったのは、テネシー大学ノックスビル校の生体力学者マイケル・グラナトスキー博士らの研究チームです。

彼らは調査の末、「このくぼみはネズミではなくリスによるものだった」と結論づけました。

しかし、調査には大きな壁がありました。

人気が高まりすぎて地元住民の迷惑になったことから、シカゴ市がこのコンクリート板ごと撤去してしまったのです。

そこで研究者たちは、ネット上に投稿された「くぼみとコインが一緒に写った25枚の写真」を元に、スケールを算出し、8種の地元齧歯類の標本(剥製)と比較分析しました。

分析では、体の各部位――鼻先から尾の付け根、前肢の長さ、後ろ足の長さ、頭幅、尾の付け根の幅など――を細かく測定し、ネズミだけでなく、リスやマスクラット(アメリカジャコウネズミ)などの可能性も検討しました。

その結果、最も一致率が高かったのはトウブハイイロリス(Sciurus carolinensis)」「キツネリス(Sciurus niger)」で、それぞれ50%前後の一致率となりました。

一方で、いわゆる「ドブネズミ(Brown rat)」の特徴とは、どの部位も明らかに異なっていたのです。

またチームは「リスは日中によく活動し、コンクリートがまだ柔らかい時間帯に歩道で事故に遭った可能性が高い」と考察しています。

ネズミは夜行性で、人目を避けて行動するため、昼間に“型”を残す可能性は低いのです。

「ネズミっぽい」と思わせた最大の要因は、尻尾部分の細さでした。

しかしリスの尻尾は普段ふさふさに見えますが、毛の下の“芯”は意外にもネズミの尻尾とよく似ているのです。

しかも、コンクリートは細かい毛のディテールまで記録できるほど繊細な素材ではありません。

次ページ“身近な謎”を科学で解く面白さ

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