画像
Credit: canva
society

『ぶっ◯してやる!』ここ50年間で映画の「殺人セリフ」が増加していると判明

2025.03.03 12:00:15 Monday

映画マニアの間では、Fワード(※)が頻出する映画ランキングなるものが密かに注目されています。

以前に有名だったのは、クエンティン・タランティーノ監督の名作『パルプ・フィクション』(1994)で、154分間に計265回(1分あたり1.72回)のFワードが出てきました。

しかし今はこの記録も大きく更新されており、現在の1位は『スウェアネット:ザ・ムービー』(2014)という作品で、112分間に計935回(1分あたり8.35回)のFワードが話されているのです。

このように映画の中の過激で暴力的なセリフは時代ごとに移り変わりますが、最近、また興味深い研究が報告されました。

1970年から2020年までの50年間に公開された映画16万本を調べた結果、「殺人を示唆する言葉」が大きく増加していることが米オハイオ州立大学(OSU)らの研究で明らかになったのです。

しかもその傾向は犯罪や暴力映画だけでなく、あらゆるジャンルに共通していました。

研究の詳細は2024年12月30日付で学術誌『JAMA Pediatrics』に掲載されています。

(※ 元々は性的な意味を持つスラングで、現在は相手を罵ったり、強い苛立ちを表現する俗語として用いられる)

The words in movies are shifting, and it’s not good news https://www.psypost.org/the-words-in-movies-are-shifting-and-its-not-good-news/
Trends of Violence in Movies During the Past Half Century https://doi.org/10.1001/jamapediatrics.2024.5741

ここ50年間で「殺人セリフ」が増加していた

映画のセリフは、時代を映し出す鏡のようなものです。

ハリウッドでも日本でも、現代の映画と数十年前の映画を見比べてみると、口語表現やスラングが変化していることは明らかでしょう。

しかし今回の研究で明らかになったのは、「単なる言葉の変化」ではなく、暴力的な言葉、特に「殺人に関連する言葉」の大幅な増加でした。

研究チームは、1970年から2020年の50年間に公開された16万6534本の映画のセリフを分析しました。

世界最大規模の映画字幕データベース「OpenSubtitles.org」から映画の字幕データを収集し、コンピュータによる言語解析技術を用いてセリフ内の「殺人に関する動詞」を検出したのです。

具体的には、「kill(殺す)」「murder(殺害する)」「slay(殺害する)」「assassinate(暗殺する)」といった単語の出現頻度を計算し、その変化を統計的に分析しました。

重要な点は、キャラクターが「殺してやる!」というように、実際に殺人を犯すことについて直接的に話している場合のみをカウントしたことです。

なので、「彼は結局、殺されなかった」とか「奴が殺したんだろうか?」といった否定文や疑問文の中に出てくる言葉は除外しました。

画像
Credit: canva

そして分析の結果、映画のセリフにおける「殺人を示唆する動詞」の使用は過去50年間で1.7倍以上に増加していることが判明したのです。

さらにこの増加傾向は、犯罪やホラー、サスペンス映画に限らず、ヒューマンドラマやコメディ、ファンタジー、ファミリー、ラブストーリーなど、あらゆるジャンルの映画に共通して見られました。

これは予想外の結果であり、「暴力的な言葉は暴力をテーマとする映画でのみ増える」という一般的な考えを覆すものでした。

また、殺人に関するセリフを発するキャラクターも男性・女性を問わず、両方で増加しています。

では、なぜ映画の中で殺人セリフが増えているのでしょうか?

次ページ殺人セリフが増えている理由とは?

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

社会のニュースsociety news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!