ジェネリック医薬品の普及とその裏事情

ジェネリック医薬品は、先発薬と同じ有効成分を使いながら価格が安いというメリットがあり、世界中で多くの患者が利用されています。
高価な先発薬に比べて医療費を抑えられることから、国や保険制度にとっても重要な存在です。
こうした背景から、「ジェネリック薬であれば、どこの会社が作っても品質や安全性は同じ」と一般的に考えられてきました。
しかし実際には、製造プロセスや生産拠点は一様ではありません。
長年にわたるコスト削減やグローバル化の流れの中で、ジェネリック薬の製造はアメリカやヨーロッパなどの先進国から、インドをはじめとする新興国へとシフトしてきています。
これ自体はコスト面では大きな利点をもたらすものの、製造環境や検査体制が国によってどのように異なり、それが製品の品質にどう影響しているのかは、いままで十分に明らかにされてきませんでした。
今回の研究は、まさにこの「どこで作っても本当に同じなのか?」という疑問に正面から取り組むものです。
ジェネリック薬は同じ成分であればすべて等しいかのように扱われてきましたが、実は製造される工場の所在地や品質管理の実態によって重篤な副作用のリスクが違う可能性を探るため、研究者たちは膨大なデータを駆使して分析を行いました。
これまで開示されてこなかった薬品の製造工場情報を独自の方法で突き止めたことで、ジェネリック薬の「見えにくかった部分」に光を当てたのです。