重金属汚染が忍び寄る…あなたの飲み水は本当に安全?

近年、水道管の老朽化や土壌汚染、工場排水などが原因で、飲み水に鉛やカドミウムなどの重金属が混入する問題が世界中で懸念されています。
これらの重金属は体の中に蓄積すると、神経や腎臓などに悪影響を及ぼす可能性があるため、長期的な健康リスクとして無視できません。
特に子どもや妊婦など免疫が弱い人ほど、その影響を受けやすいといわれています。
こうした背景の中で、少しでも重金属汚染を減らす手軽な方法があれば、大勢の人の健康を守る助けになるかもしれません。
そこで注目を集めているのが「お茶」です。
世界で最も多く飲まれている飲料の一つであり、日々の習慣として多くの人が摂取しています。
実は、従来から一部の研究者や専門家の間では「茶葉に重金属が吸着しやすい」可能性が示唆されていました。
しかし、その吸着力が普段の飲み方でどの程度効果を発揮するのかは、はっきりと証明されていませんでした。
今回、ノースウェスタン大学の研究によって、その疑問に対する具体的な実験結果が示され、お茶の葉が重金属を取り込む仕組みや、その効果の大きさについて新たな知見が得られました。
ここからは、その研究でどのように実験を行い、どんな結果が出たのかを詳しく見ていきましょう。
ノースウェスタン大学の研究チームは、まず鉛などの重金属を含む水を用意し、市販されているさまざまなお茶の葉(紅茶や緑茶、ウーロン茶など)やティーバッグの素材(セルロース、綿、ナイロン)を使って実験を行いました。
具体的には、重金属を含む水を加熱し、そこにティーバッグを一定時間浸してから、残った重金属の量を計測するという方法です。
その結果、条件によっては約15%ほど鉛の濃度が低下したケースもあり、特に長めに抽出するほど除去率が高まる傾向が見られました。
また、セルロース製のティーバッグのほうが綿やナイロン製に比べて、より効率的に重金属を吸着することがわかったそうです。
研究チームは、「市販のお茶を普段通りに淹れるだけで、わずかでも水中の有害物質を減らす可能性がある」と述べており、重金属除去における“身近な効果”に注目が集まっています。