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炎で爆撃機を騙すスター・フィッシュ作戦 / Credit:K.D. Wisniewski(Keele University)et al., Journal of Conflict Archaeology(2025)
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炎で爆撃機を騙すイギリスの秘密作戦「スター・フィッシュ」とは!?【第二次世界大戦】

2025.03.04 18:00:15 Tuesday

第二次世界大戦中、イギリスはナチスの空襲から主要都市や軍事施設を守るために、一見奇抜とも思える秘策を用いました。

それが「スター・フィッシュ作戦」です。

この作戦は、敵爆撃機を欺くために偽の目標を作り、爆弾を意図的に無価値な場所に誘導するものでした。

しかし、このデコイ作戦の存在は長らく歴史の闇に埋もれ、多くの人々には知られていませんでした。

イギリスのキール大学(Keele University)の研究チームは、スター・フィッシュ作戦で利用されたノース・スタッフォードシャー地方の三つの旧サイトの調査結果を報告しました。

詳細は、2025年2月20日付の『Journal of Conflict Archaeology』誌に掲載されています。

Starfish sites: The secret war effort of British aerial bombing decoys https://phys.org/news/2025-02-starfish-sites-secret-war-effort.html
Multi-disciplinary site investigations of WW2 allied aerial bombing decoy sites in North Staffordshire, UK https://doi.org/10.1080/15740773.2025.2464568

炎で爆撃機を騙す「スター・フィッシュ作戦」とは

第二次世界大戦中、ナチス空軍は「ブリッツ」と呼ばれる大規模空襲を開始しました。

この空襲では、イギリス各地の都市が激しく爆撃され、多くの市民が命を落としました。

また、製鉄所、工場、飛行場など重要な工業地帯が攻撃を受け、深刻なダメージを負いました。

この事態を受け、イギリス政府は爆弾の標的を欺く方法を模索し始めました。

その結果生まれたのがスター・フィッシュ作戦でした。

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爆撃時に発生する炎を模して爆撃機を騙す「スター・フィッシュ作戦」 / Credit:K.D. Wisniewski(Keele University)et al., Journal of Conflict Archaeology(2025)

この作戦では、都市の近郊に偽の都市・工業地帯を作り出しました。

そして、特殊な燃料を使い、都市での爆撃時に発生するような火の手を再現しました。

さらに、爆撃機のパイロットにここが工場地帯だと思わせるため、特定のパターンのライトを配置しました。

この技術は日夜改良され、最終的には100以上の偽装サイトが作られました。

実際の街と見分けがつかないほど精巧なものもあったといいます。

その結果、ナチスのパイロットたちはその炎を実際の都市や工業地帯だと誤認し、本来の目標から外れた地点に爆弾を投下しました。

この戦略により、いくつかの都市は深刻な被害を回避することができたと考えられています。

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