細菌性膣炎(BV)の真犯人

細菌性膣炎(BV)は、膣内の常在菌バランスが崩れることで起こる病気です。
灰白色の帯下や不快なにおいを伴う症状が代表的で、女性の約3分の1が経験するとされています。
一度治療を行っても半年以内に再発してしまう例が多いことが過去の研究で示されており、特にHIVなど性感染症のリスク増大や、妊娠・出産における合併症などにつながりかねないため、医療現場では長らく大きな課題とされてきました。
従来は「女性のみ」が抗生物質などの治療を受けるのが一般的でしたが、男女間でBVに関連する菌がやり取りされている可能性を示す報告も出ています。
男性は自覚症状がほとんどないことが多いものの、尿道や包皮下などにBV関連菌が潜み、それが女性側の再発原因になっているかもしれないというわけです。
実際、コンドームを適切に使用しているカップルではBVの再発リスクが低減するというデータもあり、“男性側の菌対策”が欠かせないのではないかと考えられてきました。
しかし、男性への治療を実施した過去の取り組みは十分大規模ではなかったため、いまだに確たる結論に至らず、「女性にのみ抗生物質を処方する」治療指針が一般的なままでした。
そこで今回、研究者たちは「男性パートナーにも抗生物質を飲んでもらい、さらに陰茎部分にクリームを塗ってもらう」というアプローチを取り、女性のBV再発率をどこまで減らせるのかを厳密に調べることにしたのです。