気象のどれくらい前に自然光を浴びるといいのか?
これまでの研究では、人工光を用いた「夜明けシミュレーション」が睡眠や覚醒に良い影響を与えることがわかっています。
しかし実際の生活環境では自然光を利用する方が現実的です。
そこで研究チームは「起床前に自然光を浴びると目覚めが良くなるのか」という疑問を検証することにしました。
19人の被験者(男性10名、女性9名)を対象に、以下の3つの条件で実験を行います。
条件1. IA(Intervention A): 起床前の20分間に自然光を浴びる
条件2. IB(Intervention B): 夜明けから起床まで自然光を浴びる
条件3. CC(Control Condition): 起床前に自然光を浴びない(対照条件)
被験者は研究施設の寝室で眠り、起床後に以下の指標を測定しました。
・眠気
・覚醒度
・疲労度
・脳波
・心拍変動

そして実験の結果、以下のことが明らかになりました。
・IAとIBはCCよりも眠気が少なく、覚醒度が高かった
・IA(起床前20分の自然光曝露)が最も効果的で、IB(夜明けからの曝露)よりも目覚めが良かった
・ただし過度な自然光や長時間の曝露は、中途覚醒を促し、目覚めの質を低下させる可能性がある
つまり、「朝の自然光は良い」と一括りにするのではなく、起床の約20分前に光を浴びるのが最も効果的であることが明らかになったのです。

この研究から得られた知見を活用し、私たちの生活に役立てる方法を考えてみましょう。
1:スマートカーテンを活用する
・起床の20分前に自動でカーテンを開けるように設定すると、自然光を適切に取り入れられます。
2:遮光カーテンを上手に使う
・夜間はしっかり遮光し、朝は徐々に光を取り入れることで、睡眠の質を保ちつつ自然な目覚めを促せます。
3:可能なら窓際で眠る
・窓からの自然光を活かせる位置で寝ると、より効果的に体内時計を調整できます。
本研究から、朝の目覚めを良くするには起床の約20分前から自然光を浴びるのがベストであることが判明しました。
今後、スマートカーテンや自動調光システムが普及すれば、誰でも簡単に「最高の目覚め」を手に入れられるかもしれません。
朝スッキリ目覚めたい人は、ぜひ「起床前の自然光」を意識してみてください。