氷を取り除いた南極の「本当の姿」が明らかになる

「Bedmap3」によって、私たちは氷に覆われた南極の真の姿をより明確に知ることができるようになりました。
南極の氷床の下に隠されたガンバーツェフ山脈の姿も明確に示されています。
また、かつて河川が流れていたと推測される深い谷が複数発見されました。
さらに、南極の一部には、海面よりもはるかに低い広大な盆地が広がっていることも確認されました。
では、これらの南極大陸の上にどれだけの氷が存在していたのでしょうか。
まず、南極の氷の総量は、2717万立方キロメートルだと分かりました。
総面積も1363万平方キロメートルと広大です。
南極の氷の平均の厚さは1948メートルであり、特に厚い場所では、氷の厚さが4,000メートルを超えることもあります。
想像を絶するような分厚い氷が南極大陸の地形を覆い隠していたのです。

では、この研究は今後どのように活用されるのでしょうか。
氷床の動きをより正確にモデル化し、将来の海面上昇の影響を予測することが可能になります。
例えば、今回の調査により、南極の氷が大規模に融解すると、海面が最大58メートル上昇すると分かりました。
もしそのようなことが生じるなら、沿岸都市が水没し、気候や海洋循環にも大きな影響を与えるでしょう。
また、南極の地質構造や地殻変動の研究にも役立ちます。
さらに、氷床下の湖や生態系の存在を調査し、新たな生命の発見につながる可能性もあります。
南極の氷床の下には、ヴォストーク湖やウィランス湖などの巨大な淡水湖が存在します。
これらの湖は長年隔絶されており、未知の微生物や生命体が存在している可能性があるため、生命科学の観点からも重要な研究対象とされています。
「Bedmap3」は、南極の過去、現在、未来を紐解く重要な地図となるでしょう。