画像
過敏性腸症候群患者はストレス時の脳活動が健常者とは異なると判明 / Credit:Canva
psychology

緊張で下痢は「気のせい」じゃない!過敏性腸症候群の患者はストレス時の脳活動が異なると判明!

2025.03.21 06:30:50 Friday

「緊張による腹痛や下痢に悩まされている」という人は少なくありません。

この「過敏性腸症候群(IBS)」は、通常の医療検査では異常が見つからず、「気のせい」「仮病」との誤解を受けやすい病気です。

そんなIBS患者の見えない苦痛を可視化する新しい研究が発表されました。

川崎医療福祉大学の研究チームはVRを活用し、ストレスを受ける場面でのIBS患者の脳活動を解析しました。

その結果、IBS患者特有の脳の反応パターンが明らかになりました。

この研究は2025年2月24付けの学術誌『Journal of Gastroenterology』に掲載されました。

過敏性腸症候群患者の”見えない苦痛”を可視化 ~仮想現実空間での精神的ストレスにより特異的な脳活動を確認~(PDF) https://k.kawasaki-m.ac.jp/document/2025/20250303.pdf
Brain activity during a public-speaking situation in virtual reality in patients with irritable bowel syndrome and functional dyspepsia https://doi.org/10.1007/s00535-025-02228-w

過敏性腸症候群の患者が抱える「見えない苦痛」とは

過敏性腸症候群(IBS)は、ストレスが原因で腸の動きに異常が生じる病気であり、日本人の約10人に1人が罹患すると言われています。

患者は強い腹痛や下痢、便秘などの症状に苦しみますが、検査をしても異常が見つからないことが多いと言われています。

そのため、医師や周囲の人々に理解されず、「気のせい」や「精神的な問題」だと誤解されがちです。

IBSが原因で休む必要が生じても、気を遣われるどころか、「仮病」だと非難されることさえあります。

画像
過敏性腸症候群の患者は二重の苦しみを抱えている / Credit:Canva

その結果、患者は病気本来の苦しみだけでなく、社会的な孤立や精神的な負担も抱えることになります。

こうした患者の苦痛を科学的に証明し、正しく理解されるようにするため、研究チームはVR技術を用いた実験を行いました。

この研究では、VRゴーグルを使用して、被験者に現実に近いストレス状況を体験させました。

被験者は、「誰もいない教室で登壇する場面」「聴衆がいるが注目はされていない場面」そして「聴衆全員から注目される場面」の3つの状況を順番に体験しました。

その際、の血流変化を測定できるfNIRS(簡便に脳の活動を測定できる赤外線を使用した検査方法。従来の100分の1のコストで導入可能)を用いて脳活動を記録しました。

さらに、被験者の心拍変動や主観的なストレス評価も行い、ストレスがどのように身体に影響を与えるのかを分析しました。

次ページ過敏性腸症候群は「気のせい」ではない!脳活動に明らかな違いを発見

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

心理学のニュースpsychology news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!