近づいているのに近づいていないように見える神技
コブシメのパッシングストライプは、単なるカモフラージュではありません。
縞模様が一定のリズムで胴体から下方に向かって流れることで、視覚的には動いているけれど、迫ってきているようには見えない錯覚を獲物に与えられるのです。
この研究では、コブシメの獲物となるカニを対象にした実験が行われました。
ディスプレイ画面に捕食者を思わせる視覚刺激を表示し、その動き方によってカニがどのように反応するかを観察したのです。
実験では、カニに対し「無地・動かない縞模様・動く縞模様」の3つの捕食者刺激を与えています。
その結果、コブシメのように縞模様が動いているときに、カニの逃避反応が最も少なくなることが明らかになったのです。

さらに野外では実際に狩りを行うコブシメの映像を多視点カメラで撮影し、縞模様の動きと接近速度の関係も分析されました。
興味深いことに、コブシメは獲物に近づくほどスピードを落とし、それに伴って縞模様の動きの頻度も変化させていたのです。
つまり、泳ぐスピードに応じて縞のリズムも調整していることになります。
上の映像で泳ぐスピードと縞模様のリズムも同期が確認できます。
また、カニの視覚モデルに基づいたシミュレーションによって、縞模様の動きが「捕食者の接近を示す典型的な視覚的手がかり(拡大する影など)をかき消す」ように働いていることも示されました。
こうしたコブシメのパッシングストライプと同じカモフラージュは、自然界に前例がないとのことです。
こちらはパッシングストライプでこっそり近づいて、最終的に獲物を捕獲するシーン。

これまでの常識では、動くとバレるからこそカモフラージュが難しいとされてきました。
しかしコブシメは、あえて目立つ動き=「縞模様のリズム」で別の動きを上書きすることで、獲物が受け取る視覚情報を巧みに欺いていたのです。
この研究は、動きがカモフラージュを破るという従来の常識に一石を投じるものです。
自然界には、私たちがまだ知らない「カモフラージュの戦略」が数多く隠されているのかもしれません。
もひとつすごいのはちゃんと「俺は見られている存在」ということを認識してること
それ思いました
鏡がないのにどういう経緯で認識したんだろ
兄弟で模様使って遊んでたのかなぁ
カ「モ」フラージュじゃなくて、カ「ム」 フラージュでは。
英語の表記ゆれなので、日本人ならどちらでも通じますよ
擬態系進化は単独だと無理筋なんだよなぁ
人間単体で見ると空も飛べないし巨大構築物も不可能だし
社会が形成されてるなら種の進化として道筋ができるから彼らも人類とは違う形の社会を作っているのではと感じる