西暦300年頃の精巧な「祭壇」を復元!
「神様の顔が描かれた石の箱のようなものが土中から発掘された」と聞いたら、まるで冒険小説の始まりのように感じるかもしれません。
しかし、それはまさに今回の発見を言い表しています。
発掘された場所は、グアテマラ北部のジャングルに位置する古代の都市遺跡・ティカル。
マヤ文明最大級の遺跡の一つであり、神殿や宮殿が林立するその中心地からわずか125メートルの地点に、これまで未発見だった遺構が眠っていたのです。

チームが新たに発見したこの遺構は、縦1.8メートル、横1.33メートル、高さ約1.1メートルの長方形の祭壇でした。
この祭壇は西暦300年代後半に造られたもので、赤、黒、黄の3色で描かれた4つのパネルで飾られています。
また頭に羽飾りを着けた人形の頭像が描かれており、その両側には盾または儀式用の装飾品が配されていました。
その実際の画像とありし日の姿が復元したものがこちらです。

古代都市ティカルは紀元前850年頃に成立し、長らくは影響力の乏しい小都市でしたが、西暦100年頃には王朝として急成長しています。
しかし調査の結果、ティカルで発掘されたこの祭壇は、ティカルの人々によって作られたものではないことが明らかになりました。
祭壇を作った真の人物は、同時代に中央メキシコで栄えていた大都市・テオティワカンから来た人々だったのです。