「首絞めセックス」で人々は奇妙な勘違いをしていると判明
「首絞めセックス」で人々は奇妙な勘違いをしていると判明 / Credit:Canva
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「首絞めセックス」で人々は奇妙な勘違いをしていると判明 (2/3)

2025.04.09 21:00:42 Wednesday

前ページ首を圧迫して得る快感――若者に急増する“危険な嗜好”

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首絞めセックスの“4つの誤解”

「首絞めセックス」で人々は奇妙な勘違いをしていると判明
「首絞めセックス」で人々は奇妙な勘違いをしていると判明 / Credit:Canva

今回の研究は、オーストラリア国内の18~35歳を対象に、大規模なオンラインアンケートを行うところから始まりました。

アンケートを通じて「首絞めセックス(チョーキング)」に関する経験や考え方を尋ねたところ、5,000人を超える回答が集まり、その中で安全性やリスクについて述べていた約1,500人分の自由記述を詳しく分析したのです。

まず理解しておきたいのは、回答者のバックグラウンドが実に多様だったという点です。

首絞めセックスを頻繁に取り入れているという人もいれば、「試したことはあるが怖くてやめた」「動画では見たことがあるけれど、自分では抵抗がある」など、体験の有無や意見は千差万別でした。

ところが、分析を進めると、そうしたバラバラな声の中にいくつかの共通パターンが浮かび上がってきたのです。 

研究チームはこれを大きく4つのテーマに整理しています。

1つ目のテーマ:「首絞めは適切に行えば“安全”だ」という認識。 

多くの回答者が「とにかく強く圧迫しなければ大丈夫」「軽く首に手を添えるだけなら問題ない」といった言葉で表現し、「首絞めは危なく見えてもテクニック次第で安全にできる」と考えていました。

たとえば「気管を潰さずに首の側面だけを押さえれば大丈夫」という自己流の対策を挙げる人もいたのです。

しかし、このような意見の背景には「実際にどの程度の力がどんな影響をもたらすか」についての科学的知識が不足している可能性があると、研究者たちは見ています。

2つ目のテーマ:「圧力のコントロールが鍵」という考え方。

首絞めを“安全”だと信じる人々の多くが、「圧力(力の強さ)や時間をうまくコントロールすれば大丈夫」と述べていました。

「短い時間だけ絞めてすぐに緩めればセーフ」「首の正面ではなく左右を押さえるようにすれば平気」という自己流ルールに頼るケースも少なくありません。

しかし、専門家によれば短時間であっても酸素が十分に行き渡らなくなる可能性はあり、遅発性のダメージが起こるリスクをゼロにはできません。

回答者の多くはそうした医学的リスクを深く認識していないか、あるいは「自分だけは平気だろう」と楽観視している傾向がうかがえます。

3つ目のテーマ:「同意(コンセント)があれば安全」という声。 

「首を絞める」という行為は非常にリスクが高いにもかかわらず、多くの回答者が「パートナーが同意していれば問題ない」と考えていました。

あらかじめ口頭で「首絞めしてもいい?」と確認したり、セーフワードを設定するなど、一見すると対策が取られているように見えます。

ただし「気づいたら急に首を押さえられ、驚きと恐怖で声を上げられなかった」というケースや、「実際には雰囲気に流されて抵抗しづらかった」という報告もあるのが現実です。

つまり、“同意”や“セーフワード”という概念自体は知っていても、それがいつもうまく機能するわけではない状況が浮かび上がりました。

4つ目のテーマ:「信頼関係があれば怖くない」という認識。 

首を絞められる側から見れば、「本当にこの人に命を預けられるのか」という不安が大きく、そこを“長い付き合いで細かなサインを把握できる相手なら大丈夫”と捉える人も多く見受けられました。

しかし「どれだけ気心の知れたパートナーでも、その日の体調や力加減次第で取り返しのつかない事故が起こり得る」という声もあり、信頼関係さえあれば完全に安全というわけではありません。

こうした4つのテーマを総合すると、多くの若年層が首絞めプレイを「なんとか安全にできる」と考えつつも、実際のリスクや医学的知識の不足、さらには同意形成のあいまいさなど多くの問題点が併存していることがわかります。 

研究チームが指摘しているのは、参加者の多くが「危険なのは知っているけれど、今まで大丈夫だったから問題ない」という考えに陥りがちな点です。

これを“安全神話”と呼ぶことができ、たとえいくつかの対策を講じても呼吸や血流を直接コントロールする以上、大きなリスクは常に残るとしています。

次ページ“安全にできるはず”は幻想か――リスクを正視する必要性

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