ほぼ完全に機械による体外受精で生まれた世界初の赤ちゃん
ほぼ完全に機械による体外受精で生まれた世界初の赤ちゃん / Credit:Gerardo Mendizabal-Ruiz et al . RBMO (2025)
artificial-intelligence

ほぼ完全に機械による体外受精で生まれた世界初の赤ちゃん

2025.04.11 18:00:44 Friday

アメリカのコンシーバブル・ライフ・サイエンシーズ研究機関で行われた研究によって、体外受精の一工程である顕微授精がこれまでの常識を覆すかもしれない、驚くべき技術革新を迎えました。 

普通ならば顕微鏡を覗き込んで人の手でこなさねばならない細かい作業を、ロボットと人工知能が一括して担当し、しかも3700キロ離れた遠隔地からの指令で操作を完了させたというのです。 

自動化された機械によって新たな生命を生み出す環境が整えられつつあるのです。

こうした画期的な技術は、生殖医療の常識を変え、世界中の不妊治療の現場に新しい風を吹き込むと期待されていますが、果たしてこれは本当に“次の当たり前”となっていくのでしょうか。

研究内容の詳細は『RBMO』にて発表されました。

Maze topiary in supergravity https://doi.org/10.1016/j.rbmo.2025.104943

職人芸に頼る不妊治療の限界

ほぼ完全にAI制御の機械による体外受精で生まれた世界初の赤ちゃん
ほぼ完全にAI制御の機械による体外受精で生まれた世界初の赤ちゃん / Credit:Gerardo Mendizabal-Ruiz et al . RBMO (2025)

不妊治療の世界では、卵子精子を顕微鏡レベルで操作して受精させる顕微授精という技術が広く行われています。

これは、まるで職人が極小の宝石を一つずつ手作業で磨き上げるかのような精巧さが求められ、術者の熟練度やその日のコンディションによっても仕上がりが変わってしまうという特徴がありました。

いくら成功率が高いといっても、人によるばらつきや集中力の限界は避けられません。

こうした制約を打破する鍵として期待されているのが、自動化と人工知能技術の活用です。

自動運転や産業用ロボットがそうであるように、もし受精のプロセスすら正確無比に機械が行えるならば、時間や場所を問わず安定した成果が得られるだけでなく、熟練技術者が不足する地域でも恩恵を受けられるようになります。 

顕微授精は1990年代に実用化されて以来大きな技術変化が少なかったのですが、ここへきて人工知能やロボット工学を組み合わせることで「人間の手を使わずに、ほぼ自動で受精を成立させる」試みに火がつき始めました。

そこで今回研究者たちは、顕微授精のミクロレベルの作業工程を包括的に自動化すると同時に、遠隔地からも操作・監視できるシステムを構築し、その実力を実験的に確かめることにしました。

次ページAI操作の体外受精で命を生み出す

<

1

2

3

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

AI・人工知能のニュースartificial-intelligence news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!