ネコのサルミアッキ柄の原因は、予想外の「遺伝子の突然変異」にあった
ネコの色は、主に黒(または濃色)とオレンジ(または赤系統)の2種類の色素から生じています。
つまり、私たちが見かけるネコの様々な色や模様は、希釈遺伝子によって薄くなったものや、それらの多様な組み合わせにより成立しています。
そのため研究チームは、サルミアッキも同様に希釈遺伝子が原因だと考えていました。
そこで研究チームはまず、サルミアッキ柄のネコ4匹を対象に、既知の白毛関連変異(W、WS、wg変異)の有無を確認しました。
しかし、すべての個体ににおいて、いずれの変異も認められませんでした。
そこでチームは、さらなる手がかりを求めてサルミアッキ柄のネコ2匹の全ゲノム解析に踏み切りました。

解析の結果、KIT遺伝子(毛色の発現を左右する重要な遺伝子)の下流約65 kbの領域に、約95 kbに及ぶ大きな欠失、すなわち変異が存在することが判明しました。
つまりサルミアッキ柄は、従来の柄の原因となる希釈遺伝子のすぐ近くの遺伝子配列に変異が生じていることが原因だったのです。
この欠失によって、毛根近くでは色素の発現が維持される一方、毛先では発現が低下。独特のグラデーションが生じると考えられます。
研究チームは、この考えを検証するために、別の181匹のネコを検査。
この失われた配列がサルミアッキ柄の原因であることを確かめることができました。
しかも研究では、この変異が「劣性遺伝」であることも分かりました。
劣性遺伝とは、両親から同一の変異型を受け継がなければ表現型が現れない遺伝形式のことであり、これがサルミアッキ柄のネコが一般的ではなかった理由だと言えます。
今回の発見は、従来の毛色変異に関する知見を更新するものであり、KIT遺伝子周辺の構造変異のメカニズムが他の家畜種(例:ウシ、ヤギ、馬)にも働いている可能性を示唆しています。
これにより、今後の品種改良、さらには皮膚や色素異常の分野における新たな応用が期待されます。
新たな柄「サルミアッキ」の登場は、動物の模様の可能性を広げることになりました。
飴のサルミアッキはともかく、猫のサルミアッキは多くの人から好まれるはずです。
個人的に可愛いと思う