ビデオ・DVD・動画そしてAIへ──技術と性欲の相互進化

ポルノはいつの時代も新しい技術との共存の中で進化してきました。
たとえば1970~80年代、家庭用ビデオデッキの規格争い(VHS対ベータマックス)ではアダルトビデオがVHS形式で積極的に供給されたことが普及の追い風になったとされています。
その後もオンライン配信への移行によって、アダルトコンテンツはより身近で個人の好みに応じたものへと変貌しました。
しかしAI生成ポルノの出現は、それまで受け手であったユーザー自身が能動的に理想のコンテンツを作り出せるという点で、ポルノの歴史におけるさらなる飛躍をもたらしています。
にもかかわらず、こうしたAIポルノの現状を実証的に調査した研究はこれまでほとんどありませんでした。
この未知の領域に踏み込むため、カナダの研究チームが包括的な調査に乗り出しました。
その筆頭著者であるValerie A. Lapointe氏(モントリオール・ケベック大学〈UQAM〉博士課程)は、「近年、私たちは新興テクノロジーが性の幸福にもたらす可能性を探ってきました。」と述べています。
「AIが高度化するにつれ、それがどんな新しい性的体験を生み出すのか興味が募りました」とLapointe氏は述べています。
当時は主にディープフェイク・ポルノ(実在人物の映像を無断で加工したポルノ)が議論の中心でした。
Lapointe氏らは「生成AIが開く可能性はそれよりはるかに広大で、しかもそれがまだほとんど研究されていない」ことに気付いたと言います。
こうして研究チームは、AI生成ポルノという未踏の領域を体系的に調べ、その実態を明らかにしようと考えました。