平日と休日の睡眠がズレていると痩せにくい
社会的時差ボケは、仕事や学校、家事などの社会的な制約によって、私たちの体内時計と社会的な時間との間に生じるギャップのことを指します。
典型例としては、平日の仕事がある時にはアラームを使って早起きし、睡眠時間が少なくなる一方、翌日に仕事がない時には夜更かししつつ、昼頃までたっぷり寝るといったものです。
今回の研究では、2015年から2018年にかけて、パーソナルトレーニングジムの減量プログラムに参加したダイエッターの中から、データに欠損のない1万1829人を対象に、社会的時差ボケの程度と体格指数(BMI)、体脂肪率の変化との関係を探りました。
このうち、社会的時差ボケの程度は、「ミュンヘンクロノタイプ質問紙」というツールが用いられ、休日の睡眠の中間時刻から平日の睡眠の中間時刻を引いて算出されています。
研究チームは、社会的時差ボケを1時間未満、1時間以上2時間未満、2時間以上の3つのグループに分けて分析を行いました。
その結果、社会的時差ボケが大きいと、BMIや体脂肪率の減少が少ないことが確認されました。
この関係は、性別や年齢、参加期間、食事量などの他の要因を考慮した上でも認められ、運動や食事による減量プログラムの効果が睡眠習慣に影響されることを示唆しています。
一方、今回の減量プログラムでは、参加者に個別の対面栄養指導が行われ、体重を減らすために必要な食事量について明確なアドバイスが提供されているという特徴があります。
しかし、実社会では、こうしたサービスに申し込まずにダイエットを進めている人が大半だと考えられ、この場合、自分の意思で食事量をコントロールすることが求められます。
このような状況では、睡眠時間の長さが特に重要であることも分かっています。
次のページでは、睡眠時間を延ばすことがダイエット効果に与える影響について紹介します。