「上司が部下にニックネームを使うと危険」だと判明
この研究で明らかになったのは、上司が部下にニックネームをつけると、部下が心理的安全性を低く感じる傾向があるということです。
多くの被験者がこのような状況において、上司が自分のアイデンティティを勝手に定義しようとしていると感じたのです。
例えば、田中さんという部下が急に「あだ名」で呼ばれた場合、その人が違和感を持つのは自然なことかもしれません。
ニックネームは名付けという行為でもあり、それを一方的に与えられると、上下関係の強調や軽視と受け取られる恐れがあるのです。

反対に、部下が上司に対してニックネームを使う場合には、心理的安全性や尊重感が高まる傾向が見られました。
これは、上司が部下の声を受け入れる姿勢を示していると解釈されるためであり、部下にとっても安心して発言できる空気が生まれやすくなります。
また興味深いことに、こうしたニックネームの影響は組織文化のあり方によって大きく左右されました。
上下関係が厳しい階層的な職場ではニックネームの影響が強く、特に上司から部下への呼び方がネガティブに受け止められる傾向が顕著でした。
一方で、フラットで対話を重視する組織では、ニックネームの使用がそれほど問題にならず、かえって信頼や親しみを育む材料として働いていたのです。
つまり、ニックネームの効果は一様ではなく、それが交わされる場の文化的背景によって大きく異なるということが明らかになったのです。
では、職場の上司は、ニックネームを用いる際、どんな点を注意すべきでしょうか。