科学が迫った「顔の魅力」の判断メカニズム

人の第一印象は、多くの場合「顔の印象」に左右されます。
しかし、その印象がどうやって決まるのか――特に「魅力を感じるポイント」が男女で違うのかどうかは、これまで曖昧でした。
過去の研究では、加工された写真や表情のない無機質な画像が使われることが多く、現実の判断にどれだけ近いのかは疑問が残っていました。
そこで今回の研究では、より自然に近い形で「人は顔のどこを見て、魅力を感じているのか」を確かめることが試みられました。
用意されたのは、無表情で正面を向いた高画質な顔写真40枚。写真には、年齢も人種も多様な男女が含まれており、参加者に違和感を与えないよう、化粧や加工のない自然な姿が選ばれました。
そして被験者にはアメリカ在住の成人104人が参加し、それぞれ2つのグループに分けられました。
1つは写真を見ながら魅力度を10点満点で評価するグループ。もう1つは特に指示を与えられず、自由に観察するグループです。
1枚の写真を見る時間は10秒間で、同じ顔を複数回見ることはありませんでした。
参加者の目の動きは、目・鼻・口・髪・頬・顎・首・額といった細かい顔のパーツごとにアイ・トラッキング装置で測定され、どこにどれだけ注目したかが注視時間を1/60秒単位で記録されました。
こうして得られた視線のデータと、魅力度の評価を突き合わせることで、人が相手の顔のどこを見て魅力を感じているかが明らかになったのです。