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Credit: Joseph Moysiuk and Jean-Bernard Caron., Royal Society Open Science(2025)
paleontology

5億年前の「新種の三つ目モンスター」を発見!日本の怪獣から「モスラ」と命名 (2/2)

2025.05.15 12:00:04 Thursday

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体の内側までクッキリ保存されていた!

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化石の画像/ Credit: Joseph Moysiuk and Jean-Bernard Caron., Royal Society Open Science(2025)

またモスラ・フェントニの化石は、他の化石ではめったに見られない内部構造の詳細まで保存されていました。

チームは化石から神経系や消化管、循環器系の痕跡を発見しました。 特に循環器系では「ラキュナ(lacunae)」と呼ばれる大きな内部空洞が明瞭に確認されました。

モスラ・フェントニは私たちのような動脈や静脈を持たず、今日の昆虫と同じく、心臓がラキュナに血液を送り込む「開放血管系」を持っていたようです。

ヒトを含む脊椎動物の血管系は、心臓から送り出された血液が動脈を通って、静脈に入り、そこから心臓に送り戻されます。

このように血液が決められた動脈と静脈、そしてそれらをつなぐ毛細血管の中を通るシステムを「閉鎖血管系」と呼びます。

対して、昆虫は動脈と静脈をつなぐ毛細血管がありません。

動脈から出た血液はそのまま開放されて、 直接的に体内の組織間を流れて静脈へと戻っていきます。

これを「開放血管系」と呼びます。

モスラ・フェントニのラキュナは体内からひれの先端にまで広がり、泳ぎながら効率よく酸素を取り込める仕組みだったと考えられています。

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体の各構造の復元図/ Credit: Joseph Moysiuk and Jean-Bernard Caron., Royal Society Open Science(2025)

さらに驚くべきことに、モスラ・フェントニは他のラディオドンタ類と比べ、体のサイズに対して最も高いエラ面積を持っていました。

これは酸素の少ない環境や活発な遊泳生活への適応だった可能性があります。

このように、モスラ・フェントニは小さいながらも、精巧かつ驚異的な環境への適応戦略を持っていたようです。

この発見は、節足動物の進化の初期段階においてすでに高度な多様化が始まっていたことを物語っています。

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5億年前の「新種の三つ目モンスター」を発見!日本の怪獣から「モスラ」と命名 (2/2)のコメント

ゲスト

新種の情報を楽しむとともに解放血管系についての疑問も解消されました!
ありがとうございました!

ゲスト

アノマロカリスの赤ちゃん?!
と誰しもが思うような…(^_^;)

へちちぷ

太古の生物というのは自然の組み換え式おもちゃの様に自由だ。
生命があ~でもないこ〜でもないと自ら試行錯誤したみたいに。

ゲスト

記事には

>分類上は初期の節足動物グループであるラディオドンタ類に属します。

>このグループには、かの有名なアノマロカリス(体長約90センチ)も含まれており、モスラ・フェントニはその小型の近縁種とされています。

と書かれています。
 同じ仲間の近縁種なのですから姿形が似ていても何の不思議もありません。
 イエネコがトラの赤ちゃんのように見えるのと同じ事です。

 尚、モスラ・フェントニと違いアノマロカリスの頭部には中央の第3の目は無いようです。

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