新種のモンスターを発見
新種の化石はカナダ・ブリティッシュコロンビア州にある「バージェス頁岩」から発掘されました。
この場所は約5億年前のカンブリア紀の海洋生物を驚異的な保存状態で伝えてくれる世界的な化石産地です。
研究チームは1990年から2022年にかけて、バージェス頁岩のある国立公園の採石場で数多くの化石標本を収集しました。
その中から新種として新たに発見されたのが、今回の「モスラ・フェントニ(Mosura fentoni)」です。
モスラ・フェントニは体長約15〜61ミリと小型ながら、見た目の特徴はまさにモンスター級でした。
三つの目、棘のある前脚、歯が並んだ円形の口、そして体の側面には遊泳用のひれが並んでいました。
モスラと命名されたのは、体の左右に広がった姿が「海の蛾」のように見えたからと研究者は話しています。

分類上は初期の節足動物グループであるラディオドンタ類に属します。
このグループには、かの有名なアノマロカリス(体長約90センチ)も含まれており、モスラ・フェントニはその小型の近縁種とされています。
特に注目されたのは、モスラ・フェントニの体の後端にある多節の構造です。
最大で26の体節を持ち、これは過去に発見されたラディオドンタ類の中で最多だという。
研究者いわく、これはカブトガニやダンゴムシなどの現生の節足動物と似ており、体の後方にも呼吸器官を備えていたことを示すといいます。
チームはこの特徴がなぜ進化したのかは不明としていますが、モスラ・フェントニが特定の生息環境や行動特性に適応し、より効率的な呼吸を必要とした可能性があると述べています。