・大人との会話の「やり取り」によって、子どもが言語能力を発達させることが判明
・大人との「会話のキャッチボール」が多い子どもほど、脳内イメージにおいても言語能力テストにおいても良い結果が示された
・規模としては小さな研究だが、これによりコミュニケーションの「質」の重要性が示された
最新の研究により、大人との会話で多くの「やり取り」をする子どもほど、脳の言語能力に関わる領域が発達することが明らかになりました。
ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学が共同で実施したこの研究。対象となったのは、4-6歳の40人の子どもたちです。
http://www.jneurosci.org/content/early/2018/08/13/JNEUROSCI.0484-18.2018
研究では、2日間にわたって「子どもと大人」の会話を録音。その後MRIを用いて子どもの脳内イメージを観察するとともに、一般的なテストを実施して子どもの認知能力や言語能力を測定しました。
その結果、大人との「会話のキャッチボール」が多い子どもほど、脳の「理解力」を司る部分と「言語生成」の間に強い結びつきが見られました。さらに、その子どもたちは、能力テストにおいても良い成績を残していたことが分かったのです。ここでの「会話のキャッチボール」とは、どちらかが一方的に話をするのではなく、できるだけ多く「話し手」が入れ替わるような会話を指します。
「大人との会話」と「子どもの言語能力」に着目した研究は、これが初めてのものではありません。1990年代の研究により、社会経済的に恵まれた背景をもつ子どもたちは、そうでない子どもと比較して、就学年齢までに耳にする単語の量が3,000万単語も多いことが分かっています。
「ワード・ギャップ(word gap)」として知られるその現象は、単に子どもが聞く単語の「量」に注目したものでしたが、今回の研究ではその「質」にも焦点が当てられたものとなります。
規模としては小さな研究ですが、これにより、いかに親子間の「会話のキャッチボール」が重要であるかが明らかとなりました。子どもの能力を伸ばすためは一方的なコミュニケーションではなく、双方向の、本当の意味での「コミュニケーション」が必要とされているのです。
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/12122