カエルのメスが鳴く理由とは?「メスの鳴声を調べた研究は少ない」と判明

文献の再分析から、メスの鳴き声には以下のような6つのタイプが存在することがわかりました。
- アドバタイズメントコール(advertisement call): 繁殖相手を惹きつけたり、同性間の競争の中で発せられる自発的な鳴き声で、性的選択において機能すると考えられています。
- コートシップコール(courtship call): 交尾前のオスとメスの近距離でのコミュニケーションに用いられ、交尾への準備状態や位置確認、オスの呼びかけに反応して発せられる「返答」としての機能が示唆されています。
- アンプレクススコール(amplexus call): オスとメスが交尾姿勢(アンプレクスス)を取っている最中に発せられる鳴き声で、その機能についてはまだほとんど解明されていません。
- リリースコール(release call): 交尾の意思がない個体が、同種あるいは異種の個体からのアンプレクスス行動や不要な身体接触に対して拒否の意思を示す鳴き声。身体的接触に対してのみ発せられます。
- ディストレスコール(distress call): 捕食者に襲われた際や拘束されたときに発せられる、口を大きく開いて鳴く防衛的・警戒的な鳴き声です。
- アグレッシブコール(aggressive call): 縄張り防衛や接近してきた個体への警告など、同種間の敵対的なやり取りにおいて発せられる鳴き声。しばしば鳴き声の後に物理的な争い(喧嘩)へと発展します。
この中でも特に注目すべきは、「アドバタイズメントコール」と呼ばれる自発的な鳴き声です。
これまではオス特有の行動とされてきましたが、一部の種ではメスも同様に鳴いていたことが確認されました。
また、ある種では、メス同士が「コールバトル」のように鳴き声で競い合う様子が観察されています。
このことは、カエル社会において「性による役割分担」が思っていた以上に複雑で、双方向のアピール戦略が存在する可能性を示唆しています。
そして前述したように、メスの鳴声について文献に記載されているのは、全体の種の1.4%です。
これは、「それだけの種でしかメスが鳴かない」と言う意味ではありません。
確認されていないだけで、実際にはもっと多くの種でメスが鳴いている可能性があります。
さらに、メスの鳴声に関して記した文献でさえ、その鳴き声の”意味”を実験的に確かめた研究は全体のわずか10%程度でした。
科学者でさえ、カエルのメスの鳴声についてほとんど知らず、その研究もなされていなかったのです。

こうした現状は、今後の研究における最大の課題であり、メスの鳴声を検証する様々な実験が必要とされていることを示しています。
また、現在世界中で絶滅の危機にあるカエルの保護調査も、オスの鳴き声を前提とした音響センサーに依存しています。
つまり、メスが鳴いても、それが検出されないために存在自体がカウントされていない可能性もあるのです。
今後はメスの声に耳を傾けることが、生態系モニタリングや保全活動の精度向上にもつながるでしょう。
今度カエルの声を聞いたら、ちょっと耳を澄ませてみてください。
もしかしたら、その中にひっそりと混じっている“メスの声”を聞き取れるかもしれません。
メスが鳴くことも知っていて、頑張って調査・発表してる人たちもいるたが、(この調査をした人を含む大多数が)興味を持ってくれなかっただけでは・・・?
アズマヒキガエルの鳴き声が結構かわいいので好きだったり…。
ずっと鳥が鳴いているのだと思ってたのです。
夜だというのに鳥が鳴いてるなって。