幼少期の体験が「ナルシシズムの強いリーダー」を育むのか?
研究チームは今回、ヒトラー、プーチン、トランプをナルシシズムの強い政治リーダーの代表格として選び、その家庭背景に何らかの共通点があるかどうかを分析することにしました。
心理学の分野では、ナルシシズムとリーダーシップの関連性は古くから知られています。
ナルシシストは注目や承認、称賛を求める傾向があり、こうした動機が政治的野心を駆動することは多々あります。
ただし、先行研究の多くが政治指導者の言動や公的イメージに焦点を当ててきたのに対し、本チームはその“前段階”、すなわち幼少期の家庭環境やトラウマ体験に注目しています。
ヒトラー、プーチン、トランプに対してインタビューや心理検査はできないため、チームは伝記や歴史的資料に基づいた解釈的アプローチを採用。
3人の幼少期に関する既知の事実――特に親の態度、トラウマ体験、情緒的支援の有無――を分析することで、彼らの後の人格やリーダーシップに影響した要因を明らかにしようと試みました。

研究の中心にあるのは、健全なナルシシズム(自尊心を支える)と病的なナルシシズム(防衛的で反応的)の違いです。
健全なナルシシズムは、適切な愛情とほどよい困難を経験することで育まれ、自己肯定感や自信、自尊心を生むのに役立ちます。
一方、病的なナルシシズムは、幼少期のトラウマや過剰または不安定な養育環境によって生じることが多く、過剰な自己像を通じて脆弱性を隠そうとする防衛反応です。
そして調査の結果、ヒトラー、プーチン、トランプに共通する家庭背景が見つかりました。