再発しやすい大腸がん―治療後の運動がもたらすメリットとは?
大腸がんは、世界で3番目に多く診断されるがんであり、がん関連死の原因としては2番目に位置します。
とりわけステージIIIの大腸がんは治療後も約30%の患者が再発を経験するため、治療後の経過観察と再発予防がきわめて重要です。
治療後は基本的に経過観察に入り、患者には健康的な生活習慣の維持が推奨されています。
しかし、それが再発リスクに具体的な影響を及ぼすかどうかは、明確な証拠がありませんでした。
過去の観察研究や動物実験では、運動ががん細胞の増殖を抑えたり、免疫機能を高める可能性が示唆されていました。

そこで立ち上がったのが、アルバータ大学や他の大学からなる研究チームです。
今回の研究の目的は、運動が単なる生活改善の手段ではなく、がん治療の一環として再発や死亡のリスクを減らせるかを科学的に明らかにすることでした。
研究は2009年から2024年にかけて行われ、対象者はすべて結腸がんの手術と化学療法を終えた成人。
彼らを無作為に2グループに分け、1つは構造化された運動プログラムを3年間実施、もう1つは健康に関する資料を提供するのみという設計でした。
運動グループは、専門家の指導のもとで週に2時間半(例えば30分のセッションを5回)追加での運動を行いました。
患者の好みに合わせた中等度の有酸素運動(速歩、自転車、水泳など)が設定され、定期的なカウンセリングも受けました。
運動の内容は無理のないペースで徐々に強度を上げていく形になっており、実生活に取り入れやすいプログラムが組まれています。
では、大腸がん治療後の運動にはどれほどの効果があったのでしょうか。