ドローンvsジャミングのイタチごっこが生み出す「画像認識ドローン」
2022年以降、ウクライナは圧倒的な火力を誇るロシア軍に対抗するため、「安くて大量に使えるドローン兵器」を積極的に導入してきました。
たとえば、ドローンに爆薬を積んで敵陣に突っ込ませる、”自爆ドローン”は、開戦当初からすでに使用されており、今や戦場の常識です。
ドローンによる攻撃は、伝統的な砲撃や空爆よりもコストパフォーマンスがはるかに高いのです。

最近では、1機あたり数千万ドルもするプレデターやリーパーの代わりに、1機数百ドルの市販ドローンを大量に購入し、殺傷力の高い兵器へと改造されています。
このようなドローンが意味するのは、「高額なミサイルより、安価でスマートなドローンの方が戦争では効果的」という事実です。
ウクライナの企業Kvertusのセリイ・スコリク氏は、こう語っています。
「ミサイル1発の価値はおそらく100万ドルで、殺せるのはせいぜい20人程度です。
しかし同じ費用で1万機のドローンを買って1機につき手榴弾を4つ搭載すれば、2000人を殺すか、戦車200両を破壊できるかもしれません」
まさにドローンは、現代の銃弾と同じく、効率の良い人殺しの”消耗品”となったのです。
ある調査によると、進行中の紛争における死傷者の70%はドローンによるものだというのだから驚きです。
しかし、ロシアも黙ってやられるわけではありません。
彼らはドローンの無線やGPSを妨害するジャミング(妨害電波)やスプーフィング(偽の位置情報を送る電子戦)を多用し、1ヶ月あたり最大1万機ものドローンを無力化してきたようです。
戦場でのドローンは消耗品になり、ドローン技術とジャミング技術は常に改良を重ねて相手の上をいかなければなりません。

この”イタチごっこ”の中で開発されたのは、AIによる視覚ナビゲーションを採用した画像認識ドローンです。
機体下部のカメラがランドマークや地上の風景(特定の目印)をリアルタイムで解析。
GPSが完全に妨害されている状態でも「自分の位置」や目標を判断して航行できます。
さらに、複数の無線帯域を使って通信を切り替えるなど、最先端の電子戦対策も施されています。
一方でロシア側も新しいタイプのドローンを導入しています。