水中運動で腰痛を無理なく改善

今回、研究チームが対象としたのは慢性的な腰痛を抱える34人の男女。
2つのグループに分けられた参加者たちは、10週間にわたり週2回の運動セッションを行いました。
一方は、陸上でのリハビリやストレッチなどを中心とした「標準治療」グループ。
もう一方は、水の浮力を活かして背筋やお尻の筋肉を鍛える「水中運動」グループです。
MRIによる筋肉の精密測定の結果、水中運動を行ったグループでは、背骨を支える「多裂筋」や「脊柱起立筋」の一部において有意な筋肉増加が確認されました。
特に背骨の上部にあたる部位で、筋肉の容積が明確に増えていたのです。
水中では体重が軽く感じられるため、腰に過度な負担をかけることなく、安全に体幹の筋肉を鍛えることができます。
しかも、ただの運動ではなく、水の抵抗を利用した筋力トレーニングでもあるため、深層筋をバランスよく刺激できるのが大きな特徴です。
つまり、水中での運動は「痛みを悪化させずに動ける環境」を提供しながら、「使われづらい筋肉を効率よく鍛える」ことができる、まさに一石二鳥のリハビリ方法だといえるのです。