家族で初めて大学に進学すると性格は変わる?
人の性格は年齢とともに少しずつ変わる傾向があります。
特に10代後半から30代前半にかけては、人生の大きな転機が重なりやすく、責任感や感情の安定性が高まるといった変化が多く見られます。
こうした性格変化の原因は、「社会的な役割の変化」だと考えられています。
就職や結婚、親になること、そして大学進学などが、新しい環境に適応するための行動や思考のパターンを促すからです。
今回注目されたのは、教育による社会階級の移動(教育的上昇移動)が性格に与える影響でした。

研究では、「第一世代大学生」—つまり親が大学に行っていない中で、子どもが大学進学を果たす人々に焦点を当てました。
このような若者たちは、家庭の文化資本とは異なる、より高い教育階級の文化に適応することを求められます。
研究者たちは、第一世代大学生が新たな社会階層に適応する過程で、性格特性にも変化が生じるのではないかと仮説を立てていました。
その点を調べるために、研究者たちは、ドイツの全国代表調査「SOEP(Socio-Economic Panel)」のデータを用い、約4,776人の若者を10年以上にわたって追跡。
対象は17歳から30代に至るまでで、大学進学の有無によって2つのグループ「第一世代大学生グループ」と「進学しなかった同世代グループ(安定低学歴群)」に分けました。
さらに、出発点での性格傾向や家庭環境を統制するため、高度な統計手法を用いて、比較の公平性を担保しました。
そして研究で分析されたのは、ビッグファイブ性格特性(外向性、協調性、誠実性、情緒安定性、開放性)と、リスク選好の傾向(リスクを好むかどうか)、コントロール感(自分の人生に対する影響感)といった心理指標です。
分析の結果は、研究チームの予想を裏切るものでした。