クチバシも形成されていた
「宇宙のフクロウ」のもうひとつの注目点は、星々が猛烈なスピードで生まれている現場が確認されていることです。
特に2つの銀河の中間部に青く輝く領域が観測されており、ここが新たな星形成の場所となっています。
ここでは年間84個の太陽に相当する星が誕生しているとのこと。

その原動力となっているのが、衝突によって発生した衝撃波、そして活動銀河核(AGN)から噴き出す双極性の電波ジェットです。
ジェットは、片方の銀河(NWアイ:上図を参照)から発せられ、もう一方の銀河との衝突前線に突き刺さるように伸びており、これがまるでフクロウのクチバシを形作っているように見せていたのです。
このジェットが衝突領域のガスを圧縮し、急速に冷却させることで、星形成が促進されていると考えられています。
観測によれば、この「クチバシ」部分の分子ガスは、星に変わるまでの時間がわずか7000万年。
これは通常の銀河に比べて非常に短く、効率的かつ急激な星形成が進んでいることを示しているといいます。
このように「宇宙のフクロウ」は、銀河の衝突・リング形成・ブラックホール活動・ジェットという、銀河進化における複数のプロセスが同時進行している、まさに“宇宙の縮図”ともいえる存在なのです。