文化を越えて一致する『クール』の条件とは?

私たちが無意識に感じ取っている「クールさ」は、一体どんな要素から生まれるのでしょうか?
その答えを得るため研究者たちはまず、世界各地のさまざまな国に住む人々にアンケート調査を行うことにしました。
研究者たちが対象にしたのは、アメリカ、オーストラリア、ドイツ、南アフリカ、スペイン、インド、トルコ、メキシコ、中国(香港を含む)、チリ、韓国、ナイジェリアの13か国、約6,000人もの人々でした。
研究期間は2018年から2022年にわたり、幅広い文化圏や年齢層の人々が調査に協力しました。
研究者は参加者に、自分が実際に知っている人の中から「非常にクールだと感じる人」「まったくクールではないと感じる人」、さらに「非常に善良だと思う人」「あまり善良ではない人」をそれぞれ思い浮かべてもらいました。
そして、それぞれの人物がどんな性格や行動傾向を持っているかを詳しく答えてもらいました。
その評価項目には、性格の5つの要素(外向性、協調性、誠実性、神経症傾向、開放性)や、基本的な価値観を測る心理学的な指標が使われました。
その結果、研究者たちも驚くような共通の「クールな人のイメージ」が世界中で浮かび上がりました。
国や文化が違っていても、「クールな人」として挙げられた人物には共通した6つの性格特性があったのです。
クールな人に共通な6つの特性
外向性: 社交的でエネルギッシュに振る舞い、周囲に明るい雰囲気をもたらす
快楽性: 人生を楽しみ、快い感覚や体験を積極的に追求する
力強さ: 自信に満ちていて影響力があり、周囲を引きつけるカリスマ性がある
冒険心: 新しいことやリスクを厭わず挑戦し、スリルや未知の体験を求める
オープンさ: 心が開かれており、新しいアイデアや価値観を柔軟に受け入れる
自律性: 他人の許可を待たず自分の信念やスタイルを貫く独立独歩の姿勢
これら6つの特徴を持つ人が世界中どこでも「クールだ」と評価されたのです。
反対に、「クールではない」とされた人々には、内気で引っ込み思案であったり、保守的すぎて変化を嫌う、あるいは自分の考えをはっきり示さない傾向が見られました。
さらに研究チームは、「善い人」と「クールな人」を比較することで、クールな人がただの善良な人気者ではないことも明らかにしました。
善い人とされる人物は、協調的で真面目、温厚で伝統的な価値観を大切にするなど、一般的に「模範的で信頼できる人」というイメージでした。
一方で、クールな人には、必ずしも模範的とは言えないような反骨的で快楽的、時に型破りな魅力があることが多かったのです。
もちろんクールな人が嫌われるというわけではなく、多くの人からある程度好かれていることが条件ですが、「クールであること」は必ずしも「善い人」と同じではなかったのです。
さらに驚くべきことに、こうした「クールな人の条件」は、調査対象となったどの国でもほぼ変わりませんでした。
これはクールさというものが、世界中で共通の意味を持つ普遍的な概念に成長したことを示しているのかもしれません。
それでは、なぜ国や文化を越えて、「クール」と感じる人物像がここまで一致しているのでしょうか?