宇宙理解の大転換は起こるのか?

今回提案された実験がうまくいけば、量子の世界と重力の世界が実際にどのように関係しているのかを、初めて直接調べられるようになります。
特に、量子の確率を決める「ボルン則」が、曲がった時空の中でどう変化するのかを確かめるのはとても大切な挑戦です。
これまでボルン則は、重力の影響がない場所でしか詳しく調べられてきませんでした。
重力のあるところでこのルールがどうなるのかは、まだ誰も試していないのです。
もし重力の影響でボルン則が少しでも変わることがわかれば、今の物理学にはない全く新しい法則が見つかるかもしれません。
逆に、もし何の変化も起こらなければ、量子論が極限環境でも頑健であることを実証する重要な知見となるでしょう。
どちらの場合でも、この結果は量子力学と重力理論を統一する「量子重力理論」に向けて、とても重要な手がかりになります。
また、この研究は、量子インターネットのような未来の技術にも大きな影響を与える可能性があります。
研究者たちは「量子ネットワークは通信に役立つだけでなく、これまでの技術ではできなかった科学実験を可能にする」と説明しています。
つまり、世界中で開発が進む量子通信ネットワークが、宇宙の不思議を解き明かす道具にもなるかもしれないということです。
近い将来、地球の重力が量子のルールを書き換える瞬間を実際に見ることができる日が来るかもしれません。