身体で「音のない重低音」聴く技術を開発
身体で「音のない重低音」聴く技術を開発 / Credit:身体で”聴く”静音型ウェアラブル音響で「音のない重低音」体験を実現!
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身体で「音のない重低音」聴く技術を開発 (3/3)

2025.08.11 22:00:04 Monday

前ページ静かなのに重低音の衝撃がズシンとくる体感技術

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未来の音響は“身体がスピーカー”になる

未来の音響は“身体がスピーカー”になる
未来の音響は“身体がスピーカー”になる / 図9は、研究チームがこのシステムを実際に展示したときの様子を撮影した写真です。これは2022年に開かれた国際会議「UIST2022」でのデモンストレーションで、会場にブース形式で設置されました。 来場者は、自分のスマートフォンや音楽プレイヤーを持ち込んで、好きな音楽をその場で再生できました。その音楽の中から、システムが自動的に低音部分を抽出し、それをEMS信号に変換して、利用者のお腹に貼られたパッドを通して筋肉に送ります。 これにより、会場の中にいながら、自分の体の内側から重低音が響いてくるような、今までにない音楽体験を味わうことができました。写真には、実際にパッドを装着して、音に合わせた衝撃を受けている参加者の様子が写っています。 このデモでは、「普通のスピーカーでは味わえないリアルな感覚だった」「特に低音の立ち上がりが気持ちよかった」といった感想が多く寄せられました。このことから、この技術が今後、家庭での音楽鑑賞や映画・ゲームといったエンタメにも広く応用できる可能性があることが示されました。 Credit:Myoelectric Stimulation Silent Subwoofer Which Presents the Deep Bass-Induced Body-Sensory Acoustic Sensation

音を出さずに、身体に重低音を響かせる技術があれば、私たちの音楽やエンタメ体験は大きく変わるかもしれません。

たとえば、夜中でもお気に入りのバンドのライブのような迫力を、周りを気にせず楽しめます。

アパートなどの集合住宅でも、近所迷惑を気にせずに映画やゲームを大迫力で体感できます。

この技術は、音の振動を身体で感じ取ることができるため、耳の聞こえにくい人でも、音楽のリズムを「感じて楽しむ」手助けになるかもしれません。

研究チームは、今後このシステムをさらに進化させたいと考えています。

今は低音域だけを刺激していますが、将来的には「複数の音の高さ(周波数)」に対応できるようにして、中音や高音も身体で感じられるようにする予定です。

また、「振動の種類」も増やして、より細かな音のニュアンスを再現できる仕組みを加える計画もあります。

さらに、体の大きさや感度の違い、好みの音楽ジャンルに合わせて、電気刺激の強さやタイミングを自動で調整する「キャリブレーション機能」も視野に入れています。

これが実現すれば、誰でも自分にぴったりの「カスタム重低音」を楽しめるようになるでしょう。

今回の筑波大学の研究成果は、VRライブやゲームだけでなく、日常的な音楽の楽しみ方にも新しい風をもたらすかもしれません。

筋肉で音を感じるというこれまでにないアプローチは、あえて言うならば「人間の体そのものが楽器になる」ような未来の入り口とも言えます。

ライブ会場で感じる胸にズシンと響くあのベース音を、ヘッドフォンと小さなデバイスだけで体験できる日が来れば、エンタメはもっと自由で、もっと静かに、そしてもっと身体的なものへと進化していくことでしょう。

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身体で「音のない重低音」聴く技術を開発 (3/3)のコメント

ゲスト

低音以外や曲内のリズム全部をそれで伝送できたりするとライブで演奏する側のモニター用にも使えていいかもしれないですね。

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