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※ 画像はイメージです / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
paleontology

背中に「帆」をもつ新種恐竜を発見、1億2000万年前に実在 (2/2)

2025.08.25 12:00:23 Monday

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帆の役割は何だったのか?

恐竜や古代生物の中には、スピノサウルスやディメトロドンのように「背中の帆」を持つものが知られています。

しかし、その役割については長年議論が続いてきました。

従来は「体温調節装置」や「脂肪貯蔵庫」といった実用的な説が唱えられてきましたが、今回の研究ではその可能性は低いとされました。

なぜなら、血管が集中する帆は攻撃を受ければ致命的な出血を招き、捕食者にとって格好の標的になってしまうからです。

代わりに有力視されているのが、性的選択や種内シグナルとしての役割です。

つまり、クジャクのオスが大きな尾羽を誇示するように、イストイオラキスの帆も仲間や繁殖相手に自分を示すための「視覚的なアピール」だった可能性があります。

群れで行動するイグアノドン類において、帆は仲間同士の識別や捕食者への威嚇としても機能したかもしれません。

さらにチームは、イグアノドン類の進化史を系統解析によって再検討しました。

その結果、神経棘の伸長はジュラ紀後期に始まり、白亜紀前期には広く定着していたことが示されました。

つまり、背中の帆は一部の恐竜だけの特殊な形質ではなく、当時の環境や社会的行動に深く関わる重要な特徴だったのです。

イストイオラキス・マッカーサレイの発見は、恐竜が単なる巨大な爬虫類ではなく、仲間や異性との関わりの中で多様な姿へと進化していったことを物語っています。

「進化は時に実用性よりも派手さを選ぶ」と研究者は述べています。

クジャクの尾やシカの角と同じように、恐竜もまた自分を誇示するために大胆な形態を手に入れていたのかもしれません。

今後さらに化石が見つかれば、背中の帆がどのように使われていたのか、より明確にわかるでしょう。

1億2000万年前の大地に生きたこの奇妙な恐竜は、私たちに進化の不思議さと、自然が生み出す「無駄に見えて無駄ではない」美しさを教えてくれます。

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背中に「帆」をもつ新種恐竜を発見、1億2000万年前に実在 (2/2)のコメント

倉田木鶏

背中の帆の機能ですが、このような背中の突起物を有する種類にはもっぱら四足歩行の被捕食者、スピノサウルス、オウラノサウルス、デイノケイルス、ステゴサウルス等が多いことから、あれは脊髄が直接打撃を受けないような、緩衝器官と想像します。クルマで言うところのクラシャブル・ゾーン。現生鳥類のカラスやハトではネコ等に襲撃された際には、爪や牙を立てられた羽毛がスルッと抜けて本体はかわして逃げると言った行動が見られます。同時代の捕食者には二足歩行で被捕食者より背が高い種類が多く、襲撃に際しては主に上方から攻撃が加えられたと推測します。カラスやハトの様に背中の帆や骨盤が打撃を受けている間に本体は致命傷を避けつつ、逃げたり反撃したりしたんでしょう。

ゲスト

Istiorachisはカタカナだとイスティオラキスと書くんじゃないか?

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