髪型が語るヴァイキングの素顔
この駒が特に注目される理由は、当時の人物像をきわめて詳細に描き出している点です。
ヴァイキング時代の美術は、ドラゴンなど幻想的な動物をモチーフにした装飾が中心で、人間を写実的に描いた例は非常に稀です。
しかし、この小さな駒は表情から髪型に至るまで驚くほど細かく表現されています。
髪型は中央分けで横に流し、耳を見せるスタイル。後頭部は短く刈り込み、大きな口ひげ、もみあげ、さらに長く編み込まれたあごひげまで確認できます。
耳の上の小さなカールまで彫られており、当時の上流階級に流行した髪型をそのまま反映している可能性があるとペンツ氏は指摘します。
「これまでヴァイキングの髪型について詳しい証拠はありませんでしたが、ここでは細部まで確認できます。これはミニチュアの胸像であり、当時のヴァイキングの肖像に最も近い存在です」とペンツ氏は述べています。
この人物が実際に誰を表しているのかは正確には断定できません。
最も可能性の高いのは、当時この地域を支配していたハーラル1世・青歯王ですが、あくまでも研究者たちは慎重な姿勢を崩していません。
それでも、この駒は「ヴァイキングが自らをどのように表現したか」を知る上で重要な資料であることは間違いありません。
1000年前に遊ばれたゲームの駒が、現代においてヴァイキングの姿を伝える歴史的証言者となる――。
忘れ去られた小さな像は、当時の人々の文化や美意識を映す鏡として、私たちにヴァイキングの素顔を垣間見せてくれます。
物申しようがない。テクノロジーとは、速さの、問題点が、すごいですよ(笑)