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家畜は大型化し、野生動物は小型化している / Credit:Canva
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過去1000年で「家畜は大型化」「野生動物は小型化」していた

2025.09.08 11:30:31 Monday

人間の暮らしや社会が、動物たちの姿や生き方にどんな影響を与えてきたのか、普段はあまり意識しない人が多いかもしれません。

でも、そんな「人と動物の歴史」を、誰にでも分かる形で明らかにした最新の研究があります。

フランスのモンペリエ大学(Montpellier University)の研究チームは、地中海沿岸フランスで発掘された動物の骨を徹底的に調べ、野生動物と家畜の「体の大きさ」が過去8000年でどう変化したのかを詳しく分析しました。

その結果、この1000年ほどで家畜はどんどん大きくなり、野生動物は逆に小さくなる、はっきりとした分かれ道が生じていたことがわかったのです。

この研究は、2025年9月2日付の『PNAS(Proceedings of the National Academy of Sciences)』誌に掲載されました。

We’ve driven animals in two shocking directions over just 1,000 years https://newatlas.com/biology/domestic-wild-animal-size/ Human impact on the evolution of domestic and wild animal body size has intensified in the last millennium https://www.cnrs.fr/en/press/human-impact-evolution-domestic-and-wild-animal-body-size-has-intensified-last-millennium
8,000 years of wild and domestic animal body size data reveal long-term synchrony and recent divergence due to intensified human impact https://doi.org/10.1073/pnas.2503428122

8000年分の骨から探る「動物の大きさ」の変化

動物の体の大きさ(体サイズ)は、その動物がどんな環境で生きてきたのか、人間とどんな関わりを持ってきたのかを知るうえで、とても重要な手がかりです。

しかし、これまで「家畜」と「野生動物」の体サイズの変化を、同じ場所・同じ時間軸で同時に比較した研究はほとんどありませんでした。

今回の研究チームは、フランス南部の311か所の遺跡から見つかった22万5000点以上の骨や歯を集めました。

ウシやブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリといった家畜はもちろん、シカやキツネ、ノウサギなどの野生動物も含め、骨や歯の長さや太さを測って体の大きさを推定しています。

さらに、当時の気候や植物、人口、土地の使われ方といった「環境の変化」もあわせて調べ、「何が動物の体の大きさを変えてきたのか?」を探りました。

その結果、8000年前の新石器時代から約1000年前の中世まで、野生動物も家畜も「体の大きさがほぼ同じパターンで変わってきた」ことが分かりました

寒さや乾燥といった「環境の変化」によって、動物全体が同じように影響を受けていたのです。

この時期、人間はすでに家畜を育てていましたが、まだ「自然の環境」の力のほうが強く、家畜も野生動物も同じような変化をたどっていました。

しかし、8000年間のうち、最後の1000年間で状況は大きく変化しました。

次ページ過去1000年間で家畜は大きくなり、野生動物は小さくなった

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