ゴリラの顔の左右非対称性の原因は近親交配かもしれない
これまでの研究で、ルワンダの自然保護区に生息するマウンテンゴリラの顔が歪んできたと報告されています。
時間の経過とともに、左右非対称な顔をもつゴリラが増え、その非対称性も大きくなってきたのです。
科学者たちは当初、この原因は環境ストレスにあると考えていました。
また別の科学者は、片方の歯で物を噛むクセが原因だと考えたようです。
しかし今回、研究チームは「保護区で生活するマウンテンゴリラは、一生のうちほとんどストレスを感じておらず、咀嚼との関係性も見いだされなかった」と述べています。
そもそも顔の非対称性は、1970年代初頭のゴリラから見られるようになったとのこと。
ここ数十年で見られた変化なのです。
そこで研究チームは、顔面非対称性のルーツを探るため、過去100年間に収集された40体のマウンテンゴリラの頭蓋骨を調査しました。
そして同じ調査を、イースタンローランドゴリラとウエスタンローランドゴリラでも実施。
その結果、非対称性は次の順番で強いと分かりました。
- 1位:マウンテンゴリラ
- 2位:イースタンローランドゴリラ
- 3位:ウエスタンローランドゴリラ
興味深いことに、この順番は「個体数の少ない順番」とも一致しています。
つまり個体数が少ないゴリラほど、顔が歪んでいたのです。
そのため研究チームは、「近親交配が顔の非対称性を大きくしている」と結論付けました。
マウンテンゴリラは個体数が少なくなってきたため、どうしても近親交配が多く行われるようになり、その結果、左右非対称の顔が増えている、というのです。
では、これらの結果は、人間にも当てはまるのでしょうか?