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オナ禁の健康効果は科学的に支持されていない (2/2)

2025.09.27 21:00:46 Saturday

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オナ禁を勧める人たちの特徴

根拠や証拠が乏しいにも関わらず、なぜネット上にはオナ禁を勧めてくる人たちが多いのでしょうか

この疑問を調査している研究はいくつも存在します。それらの報告によると、まず大きいのは「自慰は不健康」という信念を持つ人が多いという点です。

この信念は医学的な結論というより、罪悪感から生じるものです。

思春期は性の話題がタブー視されがちで、自慰を「不潔」や「恥ずかしいこと」と感じやすい環境で育つ人がほとんどです。

若年層では実際には大して汚れていないのに、自慰のあとに何度も手を洗うといった行動を取る人がいます。これは、心理学的には自慰行為に対する罪悪感の表れと解釈されます。

そのため罪悪感からなるべく自慰行為をやめたいという気持ちが強くなり、そのために「自慰は体に悪いものだ」という思い込みが強まるのです。

この気持ちの裏返しが、禁欲すれば健康になると信じやすくする下地を生み出しています。

そして、オナ禁を強く支持する人たちには「科学への信頼が低い」という特徴も確認されました。

「科学への信頼が低い」とは、必ずしも科学そのものを嫌っているという意味ではありません。むしろ、「研究論文に書かれた統計的な結果よりも、身近なコミュニティでの体験談を信じてしまう態度」を指します。

今回引用している研究報告でも、「科学的データよりも仲間の体験談を信じる」傾向が、オナ禁支持の強さと関連していることが示されています。つまり、信念を補強しているのは医学的証拠ではなく、コミュニティで共有されるストーリーなのです。

またこの傾向は、生活に悩みを抱え「何かを変えたい」と強く望む人に特に顕著でした。

人間関係がうまくいかない、集中が続かない、仕事や学業、創作活動が停滞しているといった悩みを持つ人は、その原因を見つけて自分を変えたいと考えがちです。

研究によると、「自慰に対して罪悪感を持ち、やめたいのにやめられない」と感じる人ほど、自慰が自分の上手くいかない原因と考えやすく、オナ禁を支持しやすくなる傾向が示されました。

そして多くのオナ禁支持者に共通しているのが「エネルギーの浪費と転用」という考え方です。射精で失うのは単なる快感ではなく、生きる力そのもののエネルギーであり、自慰を制限すればそのエネルギーを勉強や仕事、創作活動などに振り分けて、成功につながるという考え方を信じているのです。

まとめると、オナ禁を強く信じる背景には、罪悪感や生活への不満、そして科学的な証拠より仲間の体験談を重視する姿勢が強く関連していることがわかります。

もちろん過剰にマスターベーションやポルノを利用して生活に支障をきたしている人もいるため、そうした人にとっては確かにオナ禁が有用になる可能性はあります。しかし、一般的に言えばオナ禁は科学的に健康法として裏付けられていません。

本当に健康にいいと信じて実践している人もいるかもしれませんが、適度なマスターベーションは自然で健康的な行為であり、無理に我慢する意味は特にないと言えるでしょう。

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