研究が示す「成果バイアス」の証拠と、社会・自分への影響
1988年の研究(Baron & Hershey)は、意思決定のプロセスが同じ場合でも「結果が良かった方が高く評価される」ことを実験で示しました。
どう考えて決めたかよりも、「どうなったか」だけが重視されるのです。
また2001年の研究(Bertrand & Mullainathan)では、経済学者たちが石油業界の傾向を調査しました。
その結果、 CEOの給料が実力以外にも、「原油価格の変動」に大きく左右されていることが明らかになりました。
つまり、経営判断の腕ではなく、運によって報酬が上がっていたのです。
さらに別の分野でもこの傾向は明らかです。
2019年の研究(Kausel et al)は、PK戦(通常の試合形式より運の要素が強い)で勝利したサッカー選手はパフォーマンス評価が高まると分かりました。
しかもPK戦に直接関わっていない選手まで、「チームが勝った」だけで高評価を受けていました。
このように成果バイアスは、いろんな場面で「本当の貢献」と「評価」をずらしてしまいます。
このバイアスが社会に広がると、どんな問題が起こるでしょうか?
まず、堅実で論理的な判断や、地道な努力は目立たず評価されにくくなります。
たとえば、危機のときにリスクを避けて会社を守った経営者は、大きな成果がなくても「安全に乗り切った」という事実がちゃんと評価されるべきです。
しかし現実は、無謀な賭けで偶然大成功した人の話ばかりが“美談”になりやすいのです。
さらに、成果バイアスは「自分自身の判断」にも影響します。
結果が良ければ「自分の判断は完璧だった!」と思いやすく、 逆にうまくいかなければ「自分にはセンスがない」と落ち込むことも増えます。
本当は、良い判断でも運が悪いと失敗し、悪い判断でも運が良ければうまくいくことがあります。
だからこそ私たちが人や特定の判断を評価するとき、その裏にどんな考え方やプロセスがあったのかにも注目することが大切です。
「運が良かっただけ」の成功談に振り回されず、「なぜその判断になったのか」「他の場面でも再現できるのか」という視点を持つことが、 本当に信頼できる人や判断を見抜く力につながります。
正しい評価方法まで示して貰えませんか?
当たり前なんだけど忘れがちだよな
成功者のマネをしても成功者にはなれませんが失敗者の逆をやれば少なくとも失敗はしないですから。
成功談より失敗談のほうが役に立つのは間違いないですね。