睡眠時無呼吸症候群を悪化させる要因は?
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)とは、寝ている間に繰り返し呼吸が止まったり、弱くなったりする病気です。
いびきが大きくなったり、夜中に何度も目が覚めたり、朝すっきり起きられなかったりすることが特徴です。
昼間に強い眠気におそわれたり、集中力が続かなくなったりして悩んでいる人は少なくありません。
そしてこの病気は、日本でも成人の約3~7%がかかっていると考えられています。
しかも、ただ眠りが浅いだけでなく、高血圧や心臓病、脳卒中、2型糖尿病、うつ病、認知症など、多くの深刻な健康リスクとも関係しています。
これまでOSAの主なリスク要因は、「年齢」「肥満」「喫煙」「飲酒」などの生活習慣や体質が中心だと、これまで考えられてきました。
しかし最近、「空気の汚れ」、特に車の排ガスや工場から出るとても小さな粒子(PM10)が、OSAの発症や重症化に関わっているのでは?と注目されています。
PM10は、10マイクロメートル以下の粒子で、人間の髪の毛よりはるかに小さく、肺の奥深くまで入りやすいのが特徴です。
そこで今回、ミラノ・ビコッカ大学の研究チームは、ヨーロッパ14カ国・25都市、19,325人の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)患者を対象に大規模な調査を行いました。
参加者はすべてOSAと診断された人たちで、年齢、性別、体重、喫煙の有無など細かな情報が記録されています。
さらに、睡眠中にどれくらい呼吸が止まったり弱まったりするか(無呼吸低呼吸指数:AHI)や、血液中の酸素がどれだけ下がったかなどのデータも調べられました。
また、患者が住む地域の大気中のPM10濃度は、「Copernicus Atmosphere Monitoring Service」というヨーロッパ全域をカバーする観測データから、長期間の平均値を使って調べられました。
研究チームは、これらの情報を組み合わせて、「PM10の多い地域」と「OSAの重症度」が本当に関係しているのかを、年齢や肥満、喫煙などの他の要因をきちんと調整したうえで詳しく分析しました。