小さな体に秘められた捕食者の本能
グラスホッパーマウス(日本語に訳すと、バッタネズミ)は、アメリカ合衆国やメキシコなど北米西部を中心に生息する野生のネズミです。
主に3種が知られており、いずれも体長は10~15センチ、重さはわずか20~50グラムほどしかありません。
一見すると普通のネズミですが、バッタネズミは「昆虫ハンター」とも呼ばれるほど、強烈な肉食性を持っています。
主な獲物はバッタやクモ、サソリ、ムカデなどの節足動物です。
さらに彼らは、自分より小さな哺乳類や他のネズミを襲うこともあり、砂漠の「小さな頂点捕食者」として君臨しています。

特に注目すべきは、サソリやムカデなどの「有毒な獲物」すら恐れずに狩ることです。
例えば、アリゾナバークスコーピオンの毒は人間にも危険なほど強力ですが、バッタネズミは独自の進化によって、この毒による痛みを感じにくくなっています。
これはナトリウムイオンチャネルの特別な変異によるもので、痛みの信号を脳に伝わりにくくする仕組みです。
研究者の間では、このメカニズムが人間の新たな鎮痛薬のヒントになる可能性も期待されています。
また、彼らの前足や爪も特徴的です。
彼らの爪は、滑りやすい獲物をしっかりと押さえ込むための構造が進化しています。
他のネズミと比べても、グラスホッパーマウスは獲物を仕留める際の噛む力が非常に強く、砂漠の中で小動物ハンターとして君臨しているのです。