「遠吠え」は何のため?実際の映像も
グラスホッパーマウスをさらに特別な存在にしているのが、「狼のような遠吠え」を夜の砂漠に響かせることです。
彼らは夜行性で、日が沈むと活発に活動を始めます。
そして狩りや縄張りの主張の際、オスもメスも後ろ足で立ち、鼻を空に向けて甲高い声を上げるのです。
この鳴き声は「howl(遠吠え)」と呼ばれ、9~14ヘルツという非常に高い音域で発せられます。
なんと、その声は100メートル以上離れた場所まで届くこともあります。
この遠吠えは、獲物を仕留める直前や、縄張りをアピールしたいときに発せられることが多いとされています。
実際の映像がこちら。※ 音量に注意してご視聴ください。
その発声メカニズムも注目に値します。
グラスホッパーマウスは、他の齧歯類で見られる「笛のような音」と、人間やオオカミと同様の「組織を振動させる音」の2種類を使い分けています。
特に後者は、空気の流れによって声帯の組織を震わせて音を生み出すため、「まるで小さな狼が鳴いている」ような印象を受けるのです。
この独特な遠吠えは、個体ごとに声の高さや響きが異なり、縄張りや個体識別、社会的なコミュニケーションにも重要な役割を果たしていると考えられています。
グラスホッパーマウスの鳴き声が夜の砂漠に響き渡るとき、その小さな身体からは想像もできない迫力と不思議な存在感が漂うのです。