胸の大きい女性は自尊心が高い傾向がある
胸の大きい女性は自尊心が高い傾向がある / Credit:Canva
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胸の大きい女性は自尊心が高い傾向がある (2/3)

2025.10.20 22:00:46 Monday

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375cm³を境に見えた自信の高まり

375cm³を境に見えた自信の高まり
375cm³を境に見えた自信の高まり / Credit:Canva

さて、これまで女性の胸のサイズと自尊心というテーマの背景を紹介してきましたが、ここからは具体的な研究内容に踏み込んで見ていきましょう。

今回、研究に協力してもらったのは、トルコに住む18歳以上の女性343名です。

彼女たちはみんな健康な一般女性で、胸に関係する病気や手術の経験はありませんでした。

つまり、特別な条件や問題を持った人ではなく、あくまで普通の女性を対象にしていることになります。

次に研究チームが行ったのは、「胸の大きさ」を正確に測定するという作業です。

みなさんが普段よく耳にする「Aカップ」や「Cカップ」といったブラジャーのサイズは、メーカーや国ごとに基準が違ったり、胸以外の体型の影響も受けたりするので、実は客観的な比較にはあまり向いていません。

そこで今回使われたのが「グロスマン=ラウドナー・ディスク」という専用の測定器具でした。

この器具は透明な円盤のような形をしていて、胸に当てるとその体積(容積)を正確に測れる、医療用の特別な装置です。

例えるなら、果物の大きさを測るために重さを量るように、女性の胸を数字で正確に測定できる器具なのです。

このような方法なら、感覚や主観に頼らず、実際の胸のサイズを数字として客観的に比較できますよね。

胸のサイズが測れたら、次は女性たちに心理的なアンケートに答えてもらいます。

主に2つのアンケートが使われました。

ひとつは「ローゼンバーグ自尊感情尺度(RSES)」というもので、これは心理学で広く使われる有名なアンケートです。

質問に答えると、自分自身をどれだけ肯定的に見ているかを数字のスコアで評価できます。

ただ、このテストにはちょっとややこしい特徴があります。

普通、点数が高い方が良さそうですが、RSESでは逆で「点数が低いほど自尊心が高い」という仕組みになっています。

具体的には、0〜1点はかなり高い自尊心、2〜4点が普通レベル、そして4〜6点が低い自尊心という感じですね。

少しややこしいですが、まあそういうルールがあるんだな、と覚えておいてください。

もうひとつ使われたアンケートが、「ボディ・カテクシス尺度(BCS)」というものです。

これは、「自分の体にどれだけ満足しているか」を調べるもので、質問の項目は40個もあります。

たくさん質問があることで、自分の体に対する満足感をより細かく調べることができます。

BCSでは点数が高いほど自分の体を好きだと感じている、というわかりやすい仕組みですね。

つまり、この研究では、「胸のサイズ」という目に見える客観的な数値と、「自尊心」や「体への満足感」という目に見えない心理的な状態の両方を測定して、それらの関係を統計的に調べようという試みだったのです。

では実際に、胸のサイズと自尊心のあいだにはどんな関係があったのでしょうか?

また、体への満足感とはどんな関係になったのでしょうか?

まず結論から言うと、「胸が大きい女性ほど、自分を肯定的に見る傾向がある」という関連が、今回のデータから確認されました。

さらに詳しく見てみましょう。

今回の研究では、参加した女性たちを胸のサイズによって3つのグループに分けました。

小さいサイズ(275立方センチメートル未満)、平均的なサイズ(275〜375立方センチメートル)、そしてマクロマスティアと呼ばれる大きめのサイズ(375立方センチメートル以上)の3グループです。

具体的な数字を見ると、最も胸が大きいグループは平均0.8点、中間サイズは1.0点、最も小さいグループは0.9点でした。(※点数が低いほど自尊心が高い:なお375cm³というのは大きめのリンゴと同じくらいの体積となります)

そしてこの差は統計的に有意な「意味のある違い」だと判断されました。

ところが、「自分の体全体に満足しているか?」という質問(身体満足度)では、胸のサイズとの明確な関係はありませんでした。

胸が大きい女性たちは胸そのものには比較的満足しているものの、「自分の体全体」への満足度と胸のサイズは直接的に結びつかなかったのです。

つまり胸の大きさは、あくまで自尊心に限った話で、自分の体全体の満足度とはまた別の問題だということです。

では一体なぜ、胸が大きいと自尊心が少しだけ高まるのでしょうか?

研究チームはその理由として、「女性らしさ」や「魅力」といった文化的な価値観が影響している可能性を指摘しています。

つまり、社会の中で「胸が大きい女性は女性らしくて魅力的だ」というイメージが共有されていることで、本人も胸の大きさを自己肯定感につなげやすくなる、というわけです。

イメージとしては、胸の大きさが「自信を支える見えないお守り」のような働きをしているのかもしれません。

また、今回の研究ではもう一つ面白いことがわかりました。

それは「結婚しているかどうか」も自尊心に関連していた、という点です。

実は、結婚している女性は未婚の女性よりも、平均的に自尊心が高いという結果が出ました。

結婚が自尊心に関連する理由としては、社会的な安定感や周囲からの肯定的な評価が関係している可能性があります。

胸のサイズだけではなく、女性が置かれている環境や社会的な要因もまた、自信や自己肯定感に影響を与えることが明らかになったのです。

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