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「尻呼吸」の安全性がヒト臨床試験で確認される / Credit:Canva
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「尻呼吸」イグノーベル賞の研究がヒト臨床試験を経て”治療”へ近づく (2/2)

2025.10.22 11:30:00 Wednesday

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「尻呼吸(腸呼吸)」のヒト臨床試験で安全性が認められる

今回の臨床試験で得られた結果は非常に注目に値するものでした。

参加者20人が、液体を60分間体内に保持することに成功しました。

最大量の1500mLを注入した場合でも、副作用は腹部の膨満感や軽度の不快感といった一時的な症状にとどまり、深刻な問題は生じませんでした。

また、血液検査でも肝臓や腎臓の数値はすべて正常範囲に収まり、血中のパーフルオロデカリン濃度は検出限界未満で、実質的な全身吸収は認められませんでした。

さらに大型動物で得られたデータをもとに、パーフルオロデカリンの投与量と酸素移動の関係を予測するシミュレーションも行われました。

このシミュレーションから、理論的には高濃度の酸素を溶かしたパーフルオロデカリンを使えば、血中の酸素濃度を高めることができる可能性が示唆されています。

研究チームは、今回のヒト初試験で腸管換気が安全で忍容性が高いことを示し、治療法開発に向けた重要な第一歩になったと総括しています。

本試験は主にヒトへの安全性と忍容性の検証が目的で、有効性は未評価です。

今後は酸素をしっかり溶かしたパーフルオロデカリン液を使い、実際にどの程度血中酸素が上昇するか、どのくらいの量と保持時間が必要か、臨床の呼吸不全患者に役立つかを段階的に検証していく予定です。

もし今後の研究で有効性や長期的な安全性が確認されれば、呼吸不全や損傷で従来の治療が難しい患者や、気道が塞がり人工呼吸が困難な重篤なケースでも、腸から酸素を供給して肺を休ませるという新しい治療法が実現するかもしれません。

イグノーベル賞を受賞した「尻呼吸」の研究は、”ユニークな発想”というイメージを覆し、本格的な医学研究であることを人々に明らかにしつつあります。

この「腸から呼吸する」という新しい発想が、将来、重症患者の命を救うかもしれないのです。

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「尻呼吸」イグノーベル賞の研究がヒト臨床試験を経て”治療”へ近づく (2/2)のコメント

ゲスト

重症で意識失ってたら脱糞で全部出るんじゃないの?

ゲスト

二酸化炭素を吸う同じようなもんがあれば呼吸全部腸で管理できて病院便利だね

ゲスト

お尻から呼吸できると言われているからといってエアコンプレッサーでお尻に空気をいれるのはやめましょう、腸破裂しちゃいますからね。
お尻に向けて吹きかけるのも駄目ですよ。

危ないです。

呼吸って一般には外呼吸(肺呼吸)を思い浮かべませんか。尻呼吸と聞いてよく確認もせず空気をお尻に入れようとする輩が万人に一人くらいはいませんか。

ゲスト

全集中の尻呼吸

ゲスト

新しいドーピングになりそう

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