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派手な冠羽のキンケイのオス。実は視野が狭い / Credit:Wikipedia Commons
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金鶏と銀鶏の雄は派手な冠羽のせいで「周りがよく見えていない」

2025.11.28 11:30:49 Friday

キジ科のオスたちは、派手な羽毛を使ってメスの気を引きつけます。

鮮やかな色の冠羽や首まわりの飾り羽を大きく広げてアピールする姿は華やかですが、その代償として「自分の周りが見えにくくなっている」可能性があると、研究者たちは指摘します。

イギリスのロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ(RHUL)の研究チームは、キンケイ(Chrysolophus pictus)ギンケイ(Chrysolophus amherstiae)のオスとメスの視野を正確に測定し、派手な飾り羽が視界をどれほど遮るのかを明らかにしました。

この研究成果は、2025年11月26日付の『Biology Letters』に掲載されています。

Love hurts: Flashy feathers may put some male pheasant species’ lives at risk https://phys.org/news/2025-11-flashy-feathers-male-pheasant-species.html
The visual impediment of cranial ornamentation in male Chrysolophus pheasants https://doi.org/10.1098/rsbl.2025.0405

キンケイとギンケイのオスは飾り羽のせいで「視野が狭い」

研究チームが着目したのは、キンケイやギンケイのオスだけが持つ「冠羽」や「ケープ状の飾り羽」が、求愛の際だけでなく日常でも頭部の周囲を覆うように伸びている点です。

鳥類にとって視覚は、生存に直結する最も重要な感覚であり、餌を探したり、捕食者の気配を察知したり、仲間やライバルの動きを確認するために欠かせないものです。

これまで視野の研究は約300種で進められてきましたが、鳥類では「オスとメスで視野に差はない」という結論が一般的でした。

しかし研究者たちは、派手な羽が大きく発達したこれらのキジ科のオスでは、羽そのものが視界を遮る物理的な妨げになっている可能性があると考えました。

そこで研究チームは、キンケイとギンケイのオスとメスを対象に、目に光を当てて視野を判定する手法を用いて視野全体の形を精密に測定しました。

さらに比較対象として、同じキジ科でありながら派手な冠羽を持たないハッカン(Lophura nycthemera)キジ(Phasianus versicolor)についても同様の測定を行い、頭の飾り羽の有無が視野の差につながるかどうかを確かめました。

そして測定の結果、キンケイとギンケイのオスはメスに比べて垂直方向の両眼視野が30〜40度も小さく、前上方や後方の盲点が大きいことが明らかになりました。

これに対してハッカンとキジではオスとメスの視野に違いは見られませんでした。

つまり、キンケイとギンケイの冠羽そのものが視野の差を生んでいることが示唆されたのです。

では、より具体的な調査結果を見てみましょう。

次ページメスへのアピールのためには「捕食リスクが高まるのを辞さない」オスたち

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