遠距離カップルはゲームの中で手をつないでいた
遠距離カップルはゲームの中で手をつないでいた / Credit:Canva
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遠距離カップルはゲームの中で手をつないでいた (2/3)

2025.12.09 22:00:42 Tuesday

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遠距離恋愛はゲーム内同棲が助けになる

遠距離恋愛はゲーム内同棲が助けになる
遠距離恋愛はゲーム内同棲が助けになる / Credit:Canva

研究チームはまず、普段から一緒にオンラインゲームで遊んでいる13組の遠距離カップルに協力を依頼しました。

参加者には日記調査としてゲームで一緒に遊んだセッションごとに(最低5回)内容や感じたことを記録してもらい(計71件のセッション記録が収集されました)、後日ペアごとにインタビューを行いました。

分析では、ゲーム中に相手とのつながりを何段階で感じたか、どんなゲームジャンルだったか、そしてどんな交流が起きたかといった点を細かく検討しています。

結果、記録されたゲームの約85.9%は協力プレイ主体で、カップルは同じ目標に向かって協力し合う場面が非常に多く、各セッションで二人が感じた「つながり」は、自己申告のスコアで見ると5点満点中平均4.401点と高水準でした。

ほとんどのゲームセッションで、お互いの存在を意識したり一緒に行動したりできたと参加者は答えており、これは遠距離で欠けがちな「日常の共有」をゲームが一部補っている可能性があることを示唆します。

実際、農場経営ゲームで分担して作業を進めたり、協力シューティングで背中を預け合ったりと、カップルたちはゲーム内で文字通り二人三脚の「共同作業」を行っていました。

こうした遊びの中で冗談を飛ばし合ったり、時にはわざと負けて相手を喜ばせることもあり、対戦ゲームさえも恋人同士の軽口を叩くコミュニケーションの場になっていたのです。

さらに興味深いのは、ゲーム内で見られたカップルの行動が人間関係を良好に保つための典型的なパターンときれいに重なっていたことです。

コミュニケーション研究では関係維持行動(仲良しを保つ行動)として、「前向きでいること」「本音で話すこと」「愛情や将来の約束を確認し合うこと」「家事など共同作業をすること」「友人も交えて一緒に活動すること」の5つが知られています。

ゲーム中のカップルはまさに、これら5種類の行動すべてをデジタルな場で実践していました。

例えば、プレイ中に常にポジティブな声かけをして相手を楽しませたり、ゲーム内のアイテムを工夫してプレゼントしたり(「卒業祝いにゲーム内で手作りの帽子を贈った」というエピソードもあります)、協力ゲームでは家事のように役割分担をして助け合い、高得点を競う場面でも冗談を言って笑わせ合うなどです。

つまりゲームの中でデートもし、家事もし、友人付き合いさえも完結しているように見え、まさに「ゲーム内で同棲しているようなものだ」とも言えそうです。

実際、一部のカップルはゲーム中に撮ったスクリーンショットを保存し、「2人のアルバム」を作って思い出を振り返っていました。

これらの結果は、遠距離カップルたちは現実には手をつなげない状況でも、ゲームの中でさまざまな方法で気持ちをつないでいることを示しています。

次ページ電話より“共同作業” 遠距離恋愛を支える協力プレイ

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