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Credit: canva
health

朝を暗い光で過ごすと「うつ気質の体」になりやすいと判明

2025.12.16 07:00:48 Tuesday

朝は起きているのに、なぜか気分が重く、頭がはっきりしない。

そんな感覚を「気のせい」や「寝不足」で片づけてしまってはいないでしょうか。

実はその不調、朝の「光の弱さ」が体の中に変化を起こしている可能性があります。

ドイツのシャリテー –・ベルリン医科大学(CUB)の研究チームは、健康な若者でも、朝を暗い光の下で過ごすだけで、うつ病患者に似た生理的変化が現れることを報告しました。

研究の詳細は2025年11月14日付で学術誌『Journal of Psychiatric Research』に掲載されています。

Dim morning light triggers biological markers of depression in healthy adults https://www.psypost.org/dim-morning-light-triggers-biological-markers-of-depression-in-healthy-adults/
Living in biological darkness III: Effects of low-level pre-midday lighting on markers of depression in healthy subjects https://doi.org/10.1016/j.jpsychires.2025.11.008

「朝の光」が体内時計を動かしている

研究の出発点は、現代人が「生物学的な暗闇」で生活しているという問題意識です。

人間の体は、概日リズムと呼ばれる体内時計によって、覚醒や睡眠、ホルモン分泌を調整しています。

このリズムを最も強く動かす合図が「朝の光」です。

太陽光が目に入ると、脳の視交叉上核が刺激され、体温やホルモンのリズムが一日の始まりへと切り替わります。

しかし現代では、朝の時間帯を屋内で過ごす人が大半です。

しかも室内照明の多くは、屋外の自然光と比べると極めて暗く、体内時計を十分に刺激できません。

研究チームは、この「朝の暗さ」が体にどのような影響を与えるのかを詳しく調べました。

実験には、平均24歳の健康な男女20人が参加。

参加者は5日間にわたり、朝8時から正午まで異なる照明環境で過ごしました。

一方は55ルクスの暗い白熱灯、もう一方は800ルクスの明るい蛍光灯です。

その結果、暗い光のグループでは、ストレスホルモンであるコルチゾールのリズムが乱れました。

本来は夕方から夜にかけて下がるはずのコルチゾールが、高いまま維持されていたのです。

これは、うつ病患者でよく見られる特徴と一致します。

さらに睡眠にも変化が現れました。

暗い光の環境では、睡眠時間が平均で約25分短くなり、深い睡眠が夜の前半から後半へとずれ込んでいました。

この「深い睡眠の遅れ」も、うつ病の睡眠構造に共通する変化です。

参加者自身も、気分が落ち込みやすく、眠気が強いと感じるようになったと報告しています。

一方、明るい光のグループでは、こうした悪化は見られませんでした。

次ページ気分ではなく「体」が先に変わっていた

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