なぜ「日々の実感」と「人生の採点」が食い違うのか
ここまで見てきたねじれは、「幸福」という言葉が、実は複数の別々な問いをまとめた呼び名だから起きた可能性があります。
人は「昨日ストレスが少なかったか」と聞かれると、その日の体調や出来事を思い出して答えます。
一方で「人生を何点と感じるか」と聞かれると、今日の気分だけではなく、将来への見通しや、周囲との関係、納得感のような少し大きな基準が入り込みやすくなります。
では、人生の採点を左右する要素のうち、男女で差が出やすいものはどこなのでしょうか。
先ほども述べたように論文では、女性が相対的に良かった項目として、敬意をもって扱われたか、困ったとき頼れる人がいるか、周囲と上手くやれているかが挙げられています。
つまり人間関係に関しては女性の方が良好という評価が多かったのです。
論文は、こうした社会的なつながりが幸福感に強く関係するという先行研究が多いことを踏まえ、女性が人生評価で高くなった可能性を指摘しています。
言い換えると、男性が良好と答えた多くの項目は、人生全体の幸福感には影響が少なく、逆に人間関係など女性が良好と答えた項目は人生全体の評価に影響が大きいため、総合点が逆転したと考えられるのです。
ただ、ここで重要なのは、「どの項目が重要か」は人や社会の状況によって変わり得るという点です。
「性別の差」は世界で一枚岩ではない
南アジアは男性が相対的に良い地域として目立ち、東アジアは女性が相対的に良い地域として目立ちました。
論文は、性差を「生物学的な違いだけ」で説明するのではなく、社会の仕組みや文化的条件が強く影響し得ることを示す材料として、この地域差を位置づけています。
たとえばアフガニスタンでは、男性が全指標で女性を上回っていたと紹介されています。
逆にアイスランドのように男女平等の指標が高い国では、女性が男性を上回る項目も見られ、国ごとの条件で結果が変わる可能性が示唆されます。
ここまで来ると、「男女のどちらが幸せか」を単独の答えとして求めるより、「どんな社会条件だと差が縮むのか」を問うほうが建設的に見えてきます。
年齢や学歴、収入でも傾向は変わる
この研究は、性別だけでなく、年齢や教育、収入との組み合わせでも結果が変化する点を示しています。
ここで興味深い点は、年齢が上がるほど多くの項目で、男性が良好な評価を下す傾向が広がったことです。
また、教育水準や収入が高いと、女性でも評価が良くなる項目が多く確認されました。
この結果も、「性別の違い」そのものよりも、「環境の違い」の影響が大きいことを示しています。
そのため、今回の研究は31項目の質問を分析していますが、別の質問を追加すれば、さらに異なる傾向が見えてくる可能性があると研究者は述べています。
また、今回のデータからは傾向を分析できても、「何が原因でそうなったか」までを明らかにすることはできません。
こうした点で、幸福感や人生の充実に関する男女差を調べた研究ではありますが、男女差についてどこまで言えるかには限界があります。
それでも女性が日常で人間関係を重視しがちなこと、そしてその満足感によって男性より人生の評価が高くなりやすいというのは興味深い結果だと言えるでしょう。

























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