早く母親から引き離された仔馬は「脳の回路」に影響が出る
これまで、動物の離乳時期が成長に与える影響については、主に行動観察や血液検査といった手法で調べられてきました。
しかし、このフランスの研究チームは、より直接的な証拠を求めて、生きている馬の脳内部を可視化するという困難な課題に挑みました。
研究チームは、生後6ヶ月で母親から引き離された「早期離乳グループ」と、その後も母親と一緒に過ごした「母子同居グループ」の2つのグループを比較しました。
彼らが独自に開発した馬用のMRI(磁気共鳴断層撮影)技術を用いて脳をスキャンした結果、両者の脳構造には驚くべき物理的な違いが生じていることが判明したのです。
一体、母親の存在は脳のどの部分を変えてしまったのでしょうか?
最も大きな違いが見つかったのは、「デフォルト・モード・ネットワーク(Default Mode Network: DMN)」と呼ばれる神経回路のつながりでした。
DMNとは、人間においては「意識的な作業をしていない、ぼんやりとしている時」に活発になる脳活動のことを指します。
一見すると「休んでいるだけ」のように聞こえますが、実はこのDMNは、過去の記憶を整理したり、自分と他者の関係といった社会的な情報をシミュレーションしたりするために極めて重要な役割を果たしています。
分析の結果、母親と長く過ごした仔馬たちは、早期に離乳した仔馬たちに比べて、このDMNに関わる領域の結合がより強固に発達していることがわかりました。
つまり、母親のそばにいることで、脳内では「社会的な情報を処理する基礎回路」がしっかりと配線されていたのです。
さらに、変化はそれだけではありませんでした。
感情の制御に深く関わる「扁桃体(Amygdala)」や、自律神経や代謝を司る「視床下部(Hypothalamus)」といった部位の発達にも、明確な差が確認されました。
母親と一緒にいたグループでは、これらの部位と、情動をコントロールする「前帯状皮質(Anterior Cingulate Cortex: ACC)」との連携がよりスムーズになっていました。
これは、母親という安心できる存在がそばにいることが、単なる気休めではなく、ストレスや感情を適切に処理するための脳のハードウェアそのものを構築している可能性を示唆しています。


























![よーく聞いてね!3つのヒントで学ぶ!どうぶつカード ([バラエティ])](https://m.media-amazon.com/images/I/51zT3OcliFL._SL500_.jpg)























