新種ダニはクモの「弱点」を突いていた
クモの体は、キチン質からなる硬い外骨格に覆われています。
これは外敵から身を守るための、いわば生物学的な装甲です。
寄生生物にとって、この装甲を貫くことは容易ではありません。
だからこそ、ダニの幼生が集まっていた場所には理由があります。
それは、頭胸部と腹部をつなぐ細い部分です。
この部位は構造上、他の部分ほど厚い外骨格で守られておらず、体内の体液にアクセスしやすい弱点になっています。
ダニの幼生はこのペディセル周辺に取り付き、クモの体内を循環する血リンパを吸います。
血リンパは、酸素や栄養、免疫反応を担う重要な体液です。
研究で観察された幼生はすべて、吸血後に膨張しており、「真珠のネックレス」に見えたのは、この膨らんだ幼生が輪状に並んでいたためでした。
Descrito 2º #ácaro parasita de #aranhas do Brasil. Encontradas na coleção do @butantanoficial parasitando #aracnídeos juvenis, larvas do Araneothrombium brasiliensis pertencem a gênero que só tinha uma espécie conhecida até então, na Costa Rica. https://t.co/6gAMRnKGTx pic.twitter.com/6XLFWiORPB
— Agência FAPESP (@AgenciaFAPESP) January 16, 2026
また、この研究で確認されたのは、ダニの幼生段階のみです。成体は見つかっていません。
これは異常なことではなく、同じグループのダニでは、幼生期だけが寄生生活を送り、成長すると土壌で自由生活をする捕食者になることが知られています。
幼生段階とは異なり、成体は発見されにくいのです。
そして、この研究が投げかける重要なメッセージの一つは、博物館標本の価値です。
今回のダニは、何年も前に採集され、標本として保管されてきたクモの中から見つかりました。
ガラス瓶の中で眠っていたクモを改めて見直したことで、ようやく寄生者の存在に気づけたのです。
ブラジルではクモだけでも3000種以上が知られており、それらに付随する寄生生物は、まだほとんど調べられていません。
野外での追加採集や、ほかの動物に付いたダニ標本の収集を進めることで、新たな寄生ダニを発見できるかもしれません。

























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